「名古屋闇サイト殺人事件」から13年ーーその深層に迫る。 |
島で生きるということーー。 |
82歳。精神医療に捧げた人生。 |
しかし、本当の復興とは何か? | |||||||||||
ぼくたちがここにいる 本当の理由 |
これは、裸のラヴレター |
人は、家族は何を望むのかーー |
ひっくり返るのは歴史か それともあなたの常識か | |||||||||||
本件、未だ解決を見ず |
記者が黙った 国が壊れた |
裏切ったのは、国だった |
家族になったふたりの弁護士と“自分らしさ”のためにたたかう人々。 | |||||||||||
ふたりのジャーナリストが迫った沖縄戦の最も深い闇。 | アメリカ合衆国の光と影ーー | 彼女の洞察力は、世界を変えた! | 泡沫夢幻 空前絶後 ドキュメンタリー映画の臨界点 | |||||||||||
みんなちがって、みんないいって、みんな言う。 | 笑顔も寝顔も泣き顔も、ここにあるのは未来です。 | いまから君は、世界でいちばんタフな10歳になる | この砦が、最後の希望—— | |||||||||||
ひとりのたね屋が綴った、彼の町の物語 | 人生は、だんだん美しくなる。 | テレビが窮屈なんて誰がいった?! | マザー・テレサの列聖を記念して、彼女の愛に満ちた活動の軌跡を一挙上映。 | |||||||||||
碑に刻まれた旧制・広島二中の一年生321人。幼くしてこの世を去った彼らが最期に残した言葉とは—— | 誰にも言わないでください、衝撃のラスト12分間。 | 罪でも罰でもかまわない。あまりにも愚かで愛しい、再生の旅路 | 越後妻有の里山暮らし。 | |||||||||||
「歴史の歯車」が、いま、静かに回り出す——! | 再審への扉——。いまだ、開かれず | これな、わしら人権ないんとちゃう? | フォトジャーナリスト 広河隆一の軌跡 | |||||||||||
幸せな結末が、待っているはず | 沖縄は再び 戦場になった——。 | 世界がどんなに変わっても 揺るがない愛 | 人生を変える 旅に出よう | |||||||||||
大空は明日へつづく | こころの傷に特効薬、ありますか? | ニッポンの民主主義を大解剖 | 夢は叶う!!どんな夢でも叶うのです! | |||||||||||
戦火の人生—— それでも、日々はつづいていく。 | 秘密には、うちあけたくなる魔力がある | 人類がはじめて体感する海洋ドキュメンタリーの極北 | 戦争と平和、時代と人生。 | |||||||||||
生きることに疲れたら、どうぞ眠りに来てください | 人生を輝かせるヒントは彼女が教えてくれた | ラストバッターはこの男 | 或る馬の、数奇な運命 | |||||||||||
愛おしくて、ホロリ切ない 僕らの毎日 | アメリガ軍・普天間基地が封鎖された日 | 山さん怒りの、再出馬 | ふたたび、いのちをめぐる旅が始まる | |||||||||||
かくも烈しく面白い | 無実を叫び続けている。ずっと。そして、いまも。 | 終わりかかった町に甘い魔法をかけて、通り過ぎる思い出に嘘の町をつくる | 猫は死ぬのなんか平気だったのです。 | |||||||||||
流れてこそ、川 | 人間とは、演じる生き物である。 | あなたの正義の根拠は何ですか? | 伝えたいことがある | |||||||||||
そして、また新しい “春”が来る |
誰も、観たくなかったはずの、 ドキュメンタリー |
空前絶後の喜怒哀楽 ミスター・ドキュメンタリー 木村栄文との遭遇 |
あなたよりずっと この街が好き | |||||||||||
明日、この日々が終わるとしたら 命、焦がしても、あなたに逢いたかった |
大地揺れ、 津波の跡、後。 |
平和へのヒントは、 野良猫たちから教わった。 |
まだ、ありがとうとは 言えない | |||||||||||
宇宙の音を 創造した男 |
密やかに、世界は 輝きはじめる |
『戸塚ヨットスクール事件』から30年ー あの時代が裁いたものは何だったのか |
2010年9月11日、広島ー全国から集まった、若き“介護バカ”たち。 じいちゃん、ばあちゃんと向き合い続ける日々が、古い世界をブッ壊す! これが、21世紀の“静かな革命”。 | |||||||||||
季節がめぐるように、命はめぐる―― あるがままに命と向き合う女たちの、比類なき美しさ。 映画作家・河瀨直美の原点にして、新境地を切り拓くドキュメンタリー。 | ようやく見つけた、それぞれの居場所。介護の「春」 もう、そこまで来ています。 | 死よりも恐ろしい。 | ジョージ・A・ロメロ監督幻の初期傑作がついに日本公開! | |||||||||||
マザー・テレサ、その活動の軌跡を一挙上映 | 捨てられた犬と猫をとおして見えてくる人間の姿。いのちをめぐる旅がはじまる。 | もうひとつの「戦後」の記録。なぜ 彼らは 日本に還らなかったのか? | シーツの波をかきわけて タンスの崖をよじ登り クッションの雲を越えて、キミに会いにいく。 | |||||||||||
その瞳には、ヒロシマと家族の姿が映っていた。 | ゴミと希望拾って生きる! 儚くも強かな青空暮らしの子どもたち | 生きることに遭難した彼の出口は、何処かにあるのか? いま、一番リアルな青春映画 | フォトジャーナリスト・広河隆一による初長編ドキュメンタリー | |||||||||||
大地 自由 平和 夢… 歌うことが希望をつなぐ | 報道されなかった本当の戦争。衝撃のドキュメンタリー! | |||||||||||||
Little Birds −イラク戦火の家族たち−
Little Birds
撮影・監督:綿井健陽 製作・編集:安岡卓治 企画協力:小西晴子 翻訳:ユセフ・アブ・タリフ、重信メイ、勝元サラー 編集助手:辻井潔 製作:安岡フィルムズ 配給:Project Little Birds
報道されなかった本当の戦争。衝撃のドキュメンタリー!
米軍によるイラク侵攻が始まった2003年3月、ビデオジャーナリスト綿井健陽は日本のメディアが引き上げていくなか、バクダッドに留まり続ける。そして、約1年半の取材期間を費やし撮影された123時間余りの映像から、102分のドキュメンタリー映画を完成させた。空爆で3人の子供を奪われた父親アリ・サクバンと、クラスター爆弾によって右目を負傷した少女ハディールを軸に、バグダッド、アブグレイブ、サマワなどイラク各地を舞台に、戦火の中で懸命に生きる人々の姿を丹念に紡ぐ。最低限必要な字幕とテロップのみを配し、“イラクの現実”を可能な限り画面上に再現しようとした映像が、彼らが日々経験している恐怖、悲しみ、そして怒りを浮き彫りにする。
ガーダ −パレスチナの詩−
GHADA
撮影・監督:古居みずえ 製作:安岡卓治 /野中章弘 編集:安岡卓治/辻井潔 製作協力:古居みずえドキュメンタリー映画支援の会代表 土井 幸美/北林 岳彦 製作:安岡フィルムズ/アジアプレス・インターナショナル
大地 自由 平和 夢… 歌うことが希望をつなぐ
フォトジャーナリスト、古居みずえが、現代パレスチナの女性の生きざまをとらえたドキュメンタリー。ガザ地区難民キャンプで生まれ育ったガーダは、古い因習に立ち向かう自立心旺盛な女性。抵抗運動で親戚の少年が殺されたことを契機に、民族が追われた故郷の歴史をたどり始める。封建的な男性社会であるパレスチナでは、女性たちの声が聞え難い。古居は、ガーダの23歳から35歳までの結婚や出産などの出来事を追いながら、男性の ジャーナリストでは撮影する事が不可能な貴重な映像を紡ぎ、難民キャンプで生きる人々のリアルな日常を描き出す。困難な状況の中、故郷の料理や歌い継ぐべき詩歌を残そうと奔走する女性の成長ぶりが深い感動を生む。
パレスチナ1948・NAKBA
NAKBA Palestine 1948
監督:広河隆一 プロデューサー・構成・編集:安岡卓治 製作・著作:広河隆一パレスチナ記録映画制作委員会(広河隆一事務所、『1コマ』サポーターズ) 制作協力:安岡フィルムズ
フォトジャーナリスト・広河隆一による初長編ドキュメンタリー
1948年イスラエルが建国され、70万人以上のパレスチナ人が難民となった。動乱の中東の核心には、NAKBA(=大惨事)と呼ばれる事件がある。このことをどれほど多くの人が知っているのだろうか。現在、報道写真月刊誌「DAYS JAPAN」の編集長を務め、数々の戦場を取材してきた広河隆一は、40年間パレスチナを追い続けている。撮りためてきた写真は数万枚、映像は千時間を越える。一般の有志による『1コマ』サポーターズの支援のもと、その貴重な写真・映像から『パレスチナ1948・NAKBA』が完成した。 今から約60年前、1948年に一体何が起こったのか。廃墟と化し地図から消えた村々の徹底した取材によって、隠され続けた歴史がいま、姿を現す。
遭難フリーター
A Permanent Part-timer in Distress
監督・主演:岩淵弘樹 プロデューサー:土屋 豊 アドバイザー:雨宮処凛 挿入曲:豊田道倫「東京ファッカーズ」 エンディング曲:曽我部恵一「WINDY」 メインヴィジュアル・イラスト:真鍋昌平(「闇金ウシジマくん」) 製作:W-TV OFFICE
生きることに遭難した彼の出口は、何処かにあるのか?
いま、一番リアルな青春映画
岩淵弘樹・23歳。平日は製造派遣大手の日研総業からキヤノンの工場に派遣され、時給1250円での単純労働、週末は憧れの東京でフルキャストの日雇い派遣。不安定な労働環境から抜け出せない彼は、フリーターの権利を求めるデモに参加し、マスメディアの取材を受ける。しかし、テレビ画面に映し出されたのは、ただただ“不幸で貧しい若者”でしかなかった―。
大手レコード会社に就職した友人に自己責任論調の説教を受け、居酒屋でおっちゃんに「あなたは奴隷なんだよ!」と罵られる。「俺は誰に負けた? 俺は誰の奴隷だ?」岩淵は、拾った自転車で夜の東京を疾走する。
チョコラ!
Chokora!
監督:小林茂 撮影:吉田泰三、小林 茂 整音:久保田幸雄 編集:秦 岳志 特別協力:佐藤真 アソシエイト・プロデューサー:秦 岳志 プロデューサー:矢田部吉彦 音楽:サカキマンゴー 後援:「 小林茂の仕事」Oタスケ隊 助成:芸術文化振興基金/財団法人 新潟県国際交流協会
ゴミと希望拾って生きる! 儚くも強かな青空暮らしの子どもたち
東アフリカ、ケニア共和国、首都ナイロビから車で1時間。標高1500mにある人口10万人の地方都市・ティカ。この街のストリートで暮らす子どもたち は、鉄くずやプラスチックを拾い集めて生計を立て、夜の厳しい寒さや空腹を忘れるためにシンナーを吸う。「チョコラ」とはスワヒリ語で「拾う」、侮蔑的な意味も持つ。そんな中でも彼らは仲間と出会い、助け合いながら 生きていく。それぞれ人には言えない事情を抱えながら…。監督は、『阿賀に生きる』の名カメラマン・小林茂。被写体とカメラの信頼関係を起点とした映画づくりの手法が本作でも受け継がれている。音楽のサカキマンゴーの親指ピアノもまた、子どもたちの心情を掬いとる。
妻の貌
監督:川本昭人 配給:『妻の貌』上映委員会 配給協力:東風、KAWASAKIアーツ
その瞳には、ヒロシマと家族の姿が映っていた。
「家族を撮ること、それが私の愛情表現です」広島在住・82歳の映像作家、川本昭人は半世紀にわたってカメラを回し続けてきた。きっかけは長男誕生を機に手にした8ミリフィルムカメラ。“小型映画” といわれた、そのカメラで原爆症を宣告され、死と向き合って生きる妻の日常を映し取っていく。少し昔の日本にはどこにでもあった、静かに流れる日々の暮ら し。しかし、そこにはヒロシマの暗い影が差していた。ひとりの夫として、父として、家族に寄り添いながら撮影した妻と、介護が必要な母、そして家族の歩み。それは、どこにでもある日常の記録でありながら、半世紀にわたる「歴史」の証言と未来への希望をすくい取っている。
屋根裏のポムネンカ(宣伝作品)
NA PŮDĚ/In The Attic
監督・脚本・美術:イジー・バルタ 脚本:エドガル・ドゥトカ、イジー・バルタ 撮影:イヴァン・ヴィート 音楽:ロマン・パヴリーチェク プロデューサー:ミロスラフ・シュミートマイエル 製作:チェコテレビジョン、UPP、クラ-トキー・フィルムプロダクション、コンチネンタルフィルム、アットアームズ 日本語吹替版 声の出演:貫地谷しほり、佐野史郎、楠見尚己、後藤哲夫、大塚明夫ほか
配給:アットアームズ 宣伝:東風 後援:チェコ共和国大使館、CZECH CENTER TOKYO
シーツの波をかきわけて タンスの崖をよじ登り
クッションの雲を越えて、キミに会いにいく。
芸術の国チェコで65年の伝統を持つ人形アニメーション。その技術と表現力で創造されたのは、屋根裏に住んでいる、人間に忘れ去られたガラクタたちの世界!平和な日々が脅かされた時、ポムネンカとゆかいな仲間たちは決死の大冒険に挑むことに……!CGアニメ全盛期といわれる今、1コマ1コマ手作業で人形を動かすストップモーション・アニメの手法を使い、キャラクターたちはプラハの街で監督自らが拾い集めたガラクタや古道具から生み出されました。 ユーモアたっぷりな住人たちが待っている、秘められた屋根裏の世界 ――ついに幕を開けます!
花と兵隊
FLOWERS AND TROOPS
監督・撮影・編集:松林要樹 編集:辻井潔 音楽:津嘉田泰三 プロデューサー:安岡卓治
製作:記録映画「未帰還兵」製作委員会 配給:安岡フィルムズ 配給協力:東風、KAWASAKIアーツ
もうひとつの「戦後」の記録。なぜ 彼らは 日本に還らなかったのか?
太平洋戦争中、約19万の日本の将兵が、その命を失ったビルマ―。本作は、タイ・ビルマ国境付近で敗戦を迎えた後、祖国に還らなかった6名の日本兵、すなわち「未帰還兵」を描く。敗戦から60余年を隔て、戦争の記憶が薄れつつあるいま、90歳を前後する彼らを20代の監督・松林要樹がとらえた。2005年から3年に渡る取材で、松林はもうひとつの戦後史ともいうべき彼らの暮らしに寄り添い、新たな証言を記録した。それは、ある未帰還兵の現代日本への遺言となった。製作中、2名が鬼籍に入ったからだ。なぜ彼らは日本に還らなかったのか?南国の激しい雨の間隙、晴れやかな日差しの中で、穏やかに老後を迎える元兵士たちの平和な日常に、漆黒の時代の闇が潜んでいる。
犬と猫と人間と
Dogs, Cats & Humans
監督:飯田基晴 企画:稲葉恵子 撮影:常田高志/土屋トカチ/飯田基晴 音楽:末森樹 製作:映像グループ ローポジション
配給:東風 宣伝協力:スリーピン 助成:芸術文化振興基金
捨てられた犬と猫をとおして見えてくる人間の姿。いのちをめぐる旅がはじまる。
町を歩けばあちこちで目にする散歩中の犬、路地裏でくつろぐ野良猫たち―。しかし、空前のペットブームの影で、日本で処分される犬と猫は年間30万頭以上。一日に1000匹近くが殺されている現実があります。本作は、一人の猫好きのおばあさんの「不幸な犬猫を減らしたい」という思いから生まれたドキュメンタリー映画です。監督は、ドキュメンタリー映画『あしがらさん』で路上に生きる人々に寄り添った飯田基晴。4年に渡る丹念な取材で見えてきたもの、それは私たち人間が抱えるエゴと愛。捨てるのも人間なら、救うのもまた人間。知られざる多くの現実の先に、「かわいそう」という感傷を乗り超える、ささやかな希望がみえてくるはずです。
生誕100年記念 マザー・テレサ映画祭
Mother Teresa Film Festival
監督名:ピーター・シェファー/千葉茂樹/アン・ペトリ/ジャネット・ペトリ/マーセル・バウアー
提供:女子パウロ会/株式会社プレシディオ 企画:株式会社フィールドワークス 配給:東風
マザー・テレサ、その活動の軌跡を一挙上映
宗教や人種をこえて、貧しい人々のために生きたマザー・テレサ。1979年にはノーベル平和賞を受賞。1997年に惜しまれながら亡くなるまで、彼女はその行いによって「愛」とは何かを世界中に示し続けました。そして、2010年――マザー・テレサがこの世に生まれて100年。この記念すべき年に行われる「生誕100周年 マザー・テレサ映画祭」では、その奇跡ともいえる活動を記録した、劇場初公開を含む現存する国内外のドキュメンタリーを“世界初”の一挙特集上映をいたします。珠玉のドキュメンタリーが映し出すのは、いまなお確実に生き続けているマザー・テレサの精神です。
ザ・クレイジーズ
THE CRAZIES
監督:ジョージ・A・ロメロ 製作:アルヴィン・C・クロフト 製作総指揮:リー・ハッセル 脚本:ジョージ・A・ロメロ/ポール・マッカロー 撮影:S・ウィリアム・ハインツマン 音楽:ブルーズ・ロバーツ
出演:W・G・マクミラン/レイン・キャロル/ハロルド・ウェイン・ジョーンズ/リン・ローリー 提供:スティングレイ
ジョージ・A・ロメロ監督幻の初期傑作がついに日本公開!
DVDリリースを記念してジョージ・A・ロメロ幻の初期傑作『ザ・クレイジーズ』がついに日本劇場初公開! 細菌兵器の感染により町の人々が次々と狂いだし、それを鎮圧しようとする軍人たちの残虐行為が繰り広げられる。血まみれの戦いが繰り広げられる街の中で、共に脱出を図る仲間の狂人化・・・。狂気が連鎖し、はたして誰が“まとも”で、誰が“狂っている”のかも分からない極限状態の人間の心理をセミドキュメンタリータッチで描いた近未来SFサスペンス。絶望が伝染する町から無事に逃げ出すことが出来るのか・・・ロメロが『ゾンビ』以前に生み出した恐怖の正体を見逃すな!
ゾンビ(HDリマスター/ディレクターズ・カット版)
Dawn of the Dead
監督:ジョージ・A・ロメロ 製作:クラウディオ・アルジェント、アルフレッド・クオモ、リチャード・P・ルビンスタイン 脚本:ジョージ・A・ロメロ/脚本協力:ダリオ・アルジェント 音楽:ゴブリン/撮影:マイケル・ゴーニック/SFX:トム・サヴィーニ
出演:ケン・フォリー、スコット・H・ライニガー、デヴィッド・エムゲ、ゲイラン・ロス
提供:スティングレイ 宣伝:東風
死よりも恐ろしい。
突如、死者たちが蘇り、人間を襲い始めた。脳破壊か頭部切断以外では死なない死体である“ゾンビ”。彼らに襲われた者たちもゾンビとして蘇り、人肉を求めるゾンビが溢れた世界は混沌に充ちていた。TV局スタッフのフランシーンとスティーヴン、SWAT隊員のロジャーとピーターは郊外のショッピングモールに逃げ込む。しかしそこはゾンビの巣窟となっており、彼女たちは更なる恐怖と遭遇する。果たして、絶望と恐怖のショッピングモールに夜明けは来るのか、それとも世界は終焉を迎えてしまうのか…1978年の公開以来、映画史に残る傑作としても名高く、マスター・オブ・ホラー、ジョージ・A・ロメロの名を世界に知らしめた本作。誕生から32年―世紀末、ゼロ年代を経て、2010年『ゾンビ』が蘇る!!
ただいま それぞれの居場所
登場施設・事業所:NPO法人「優人」 民間福祉施設 「元気な亀さん」 有限会社 オールフォアワン 宅老所「いしいさん家」 NPO法人 井戸端介護 宅老所「井戸端げんき」 ――利用者と利用者の家族のみなさん スタッフとスタッフの家族のみなさん
企画・製作・監督:大宮浩一 (『よいお年を』『青葉のころ よいお年を2』) プロデューサー:安岡卓治(『A』『A2』『花と兵隊』)
配給宣伝協力:東風、NPO法人 KAWASAKIアーツ 配給:安岡フィルムズ 製作・著作:大宮映像製作所
ようやく見つけた、それぞれの居場所。
介護の「春」 もう、そこまで来ています。
2000年4月の介護保険制度開始以降、介護サービスの数が急増する一方で、介護を必要としながらも制度の枠組みから漏れてしまう人々も多くいる現状がある。そうした中、現在の画一的な介護サービスの在り方にジレンマを感じ、自ら理想とする介護を実現させようと施設・事業所を立ち上げた若い人たちがいた。暗い話題ばかりが注目されがちな介護の現場でも、利用者やその家族たちと深く関わることを望み、日夜奮闘する施設スタッフたちの姿を活き活きと映し出す。「人間とは?」「人生とは?」「家族とは?」日々突きつけられる問いと悲喜交々の人間ドラマ。制度とシステム、医療と介護、家族と社会。その狭間をさまよい続け、やっと見つけたそれぞれの居場所を見つめる。
玄牝
GENPIN
出演:吉村正、吉村医院に関わる人々
監督・撮影・構成:河瀨直美 音響設計:菊池信之 音楽:ロケット・マツ(パスカルズ) プロデューサー:内藤裕子 監督助手:北條美穂 撮影助手:橋本彩子 同時録音:猪立山仁子 編集:金子雄亮 協力:吉村医院 企画・製作・配給:組画 配給協力:東風 助成:文化芸術振興費補助金
季節がめぐるように、命はめぐる――
あるがままに命と向き合う女たちの、比類なき美しさ
映画作家・河瀨直美の原点にして、新境地を切り拓くドキュメンタリー
ぼんやりとした明りがともる古民家の一室。ここは母親の胎内に近い温度と湿度、そして光が保たれている――。愛知県岡崎市にある吉村医院には、「自然に子を産みたい」と願う妊婦たちが全国から集まってくる。「不安はお産の大敵。ゴロゴロ、ビクビク、パクパクしないこと」。そう繰り返す吉村院長は、これまで2万例以上のお産に立ち会ってきた。それぞれの事情や想いを抱え、いのちと向き合う妊婦たち。臨月が近づくにつれ彼女たちは生き生きと輝き始める。お産を前に揺れる女たちの心、生まれてくる命とその前になくなってしまう命を前に吉村医師が抱える葛藤…。現代に生きる私たちの強さと脆さ、喜びと悲しみ、怒りや平安がないまぜとなって、ひとつに結ばれていく。
9月11日
SEPTEMBER,11
出演:藤渕安生、細川鉄平、武井桂子、橋知宏、池内大輔、石井英寿、伊藤英樹 ほか
企画・監督:大宮浩一 撮影:山内大堂、遠山慎二、野本大、大澤一生、渡辺祐一 編集:辻井潔
制作:大澤一生、渡辺祐一
製作:Love, Peace&Care Connection(大宮映像製作所、ノンデライコ、東風)
配給・宣伝:東風 宣伝協力:ノンデライコ
自ら理想とする介護を実現しようと、若者たちが立ち上げた7つの施設・事業所の日常と、彼らが主催・出演したライブイベント「Love&Peace&Care 2010 inヒロシマ~介護バカの集い~」を記録したライブドキュメント。
2010年9月11日、広島―― 20世紀と21世紀の歴史を象徴する場所と日付に、自らを“介護バカ”と呼ぶ若者たちが集まった。介護だけにとどまらず、歴史、文化、哲学と縦横無尽に繰広げられるトークセッション。人が老い、死ぬということと、日々向き合い続けている彼らが紡ぐ言葉は、新しい生き方、新しい価値観の創造を予感させる。そして、それを実践し、表現する彼らの日常のよろこびや葛藤をカメラはとらえる。監督は、『ただいま それぞれの居場所』で介護現場のいまと希望を描き、本年度文化庁映画賞「文化記録映画大賞」を受賞した大宮浩一。前作から、間髪入れずに製作・公開される映画『9月11日』には、21世紀初頭の、 現在進行形の“静かな革命”が、なまなましく息づいている。
平成ジレンマ
heisei dillemma
ナレーション:中村 獅童
プロデューサー:阿武野 勝彦 音楽:村井 秀清 音楽プロデューサー:岡田 こずえ
撮影:村田 敦崇 音声:戸田 達也 車両:鷲見 禎典 TK:河合 舞 題字:山本 史凰
効果:久保田 吉根 ミキシング:澤田 弘基 編集:山本 哲二 アソシエイトプロデューサー:安田俊之
監督:齊藤 潤一 制作・著作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
「戸塚ヨットスクール事件」から30年ーーー 戸塚ヨットスクール=体罰だった“あの時代”が裁いたものは何だったのか。そして、それは今に何をもたらしたのか。
訓練生の死亡や行方不明事件を起した「戸塚ヨットスクール事件」から30年――マスコミ報道と世論に圧されるかたちで、日本の教育機関での体罰は禁止。この事件は時代を象徴するものとなった。
戸塚宏校長は、2006年に刑期の満了後、スクールに校長として復帰し、子育てに悩む保護者や教育関係者向けの講演は年間70回に及ぶ。現在、戸塚ヨットスクールには10名の訓練生がいるが、激しい体罰は影を潜め、日々のヨット訓練も昔のような緊張感はない。また、かつて訓練生は不登校や非行など10代が中心だったが、今は引きこもりやニートなど半数が20代と「高年齢化」している。
本作は、戸塚ヨットスクールを取材エリアに持つ東海テレビの迫真ドキュメント。事件当時からの長期取材により、現代社会が抱えるジレンマが、スクリーンに浮かび上がる。。
悲しみのミルク
THE MILK OF SORROW
脚本・監督:クラウディア・リョサ
出演:マガリ・ソリエル/スシ・サンチェス/エフライン・ソリス/マリノ・バリョン
製作:アントニオ・チャバリアス/ホセ・マリア・モラレス/クラウディア・リョサ
撮影監督:ナターシャ・ブレイア、美術監督:パトリシア・ブエノ/スサナ・トレス
編集:フランク・グティエレス、音楽:セルマ・ムタル
提供:日本スカイウェイ/川崎市文化財団/KAWASAKIアーツ 配給:東風
配給協力:コミュニティシネマセンター/川崎市アートセンター
ベルリン国際映画祭金熊賞受賞、国際批評家連盟賞をW受賞。世界が熱狂した――ラテンアメリカの新しい才能。
監督のクラウディア・リョサは、1976年生まれ。2010年にノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス=リョサの姪にあたる。ペルー近現代史の傷跡をその身に引き受けた一人の女性――ファウスタの姿を通して、過去への厳しい眼差しと未来への希望を独特の映像美に結実させた本作は、ベルリン国際映画祭の金熊賞(最高賞)と国際批評家連盟賞をW受賞した。それはラテンアメリカの新しい才能の発見である。どれほど辛い記憶にとらわれていたとしても、いかにもあっけらかんと明日がやって来るこの世界は、ときに苛酷でグロテスクでさえある。しかし、その残酷さと笑い、悲しみと喜びの共存にこそ「ペルー的感性」があると述べるクラウディア・リョサの映画には、強靭な詩の力と圧倒的な生命の力が宿る。撮影監督は、『シルビアのいる街で』のナターシャ・ブレイア。2010年にはアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、世界の映画祭、映画ファンから熱狂をもって迎えられている。
アトムの足音が聞こえる
THE ECHO OF ASTRO BOY'S FOOTSTEPS
監督:冨永昌敬 ナレーター:野宮真貴 音響効果:パードン木村
撮影:月永雄太・冨永昌敬 助監督:原田健太郎
仕上担当:田巻源太 企画・プロデューサー:坂本雅司 プロデューサー:大野敦子 企画協力:奥村健
出演:大野松雄 柴崎憲治 柏原満 松田昭彦 Open Reel Ensemble
村上浩 由良泰人 レイ・ハラカミ
製作:シネグリーオ 配給・宣伝:東風 助成:文化芸術振興費補助金
1963年、手塚治虫による日本初のTVアニメ「鉄腕アトム」の放映がスタート。ブラウン管の中を元気に動き回るその小さなロボットの足音は、無機質な金属音ではなく“ピョコピョコ” と愛らしく響いていた。本作は、この一度聞いたら忘れることの出来ない“未来”の音を生み出した音響デザイナー・大野松雄の軌跡を描いたドキュメンタリー。
大野の音作りに対するひらめきは周囲をうならせ、ときに困惑させ、手塚治虫とやりあうこともしばしば。「おもしろければなんでもやってしまう」という彼自身の言葉の通り、勅使河原宏や松本俊夫といった映画作家たちの音づくりや、つくばEXPO’85などのパビリオンの空間音響システムデザイナーを務めるほか、自らドキュメンタリー映画を制作するなどその活動は多岐に渡る。しかし彼は、東京での活動の最中、突如姿を消してしまったのだ―――。
アニメ「ルパン三世」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」のフッテージやレイ・ハラカミ、Open Reel Ensembleの演奏などを交えながら、大野の偉業と後世に与えた影響を紐解き、その波乱の人生を追うのは『乱暴と待機』『パンドラの匣』、菊地成孔や相対性理論などのPVを手掛けた冨永昌敬監督。“この世ならざる音”を探し求める、一人の男の生き様を見つめたドキュメンタリー映画が完成した。
青空どろぼう
AOZORA DOROBO
ナレーション:宮本信子 プロデューサー:阿武野勝彦 音楽:本多俊之
音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:塩屋久夫 音声・水中撮影:森 恒次郎 水中撮影:岩井彰彦・神辺康弘
TK:河合 舞 効果:柴田勇也 ミキシング:澤田弘基 CG:小清水幹也 題字:山本史鳳
アソシエイトプロデューサー:安田俊之 編集:奥田 繁
共同監督:阿武野勝彦・鈴木祐司 制作・著作・配給:東海テレビ 配給協力:東風 宣伝協力:スリーピン
高度経済成長期、石油化学コンビナートの煤煙で多くのぜんそく患者が発生した。苦しさの余り自殺者まで出した日本四大公害の1つ「四日市ぜんそく」――公害防止法の法制化のきっかけとなったその裁判の判決から38年が経つ。
三重県四日市市――公害裁判に立ち上がった人々と、彼らを支え続けた男がいる。
原告の一人、四日市市磯津の野田之一(78歳)。コンビナート対岸の漁港で3代続く漁師だったが、30代でぜんそくに蝕まれた。38年前、裁判に勝訴した時、支援者を前に野田はマイクで、こう呼びかけた。「まだ、ありがとうとは言えない。この町に、ほんとうの青空が戻った時、お礼を言います」と。
そして、公害発生当初から患者たちを写真と文字で記録し続け、原告たちを支え続けた男がいる。公害記録人・澤井余志郎(82歳)。彼が発行した公害文集は60冊、その活動は40年を超える。澤井は、「公害はまだ終わっていない…」と話す。判決から38年たった現在もコンビナートから目を離そうとしない。事実の記録と真実の究明をたゆみなく継続することこそが本当の青空を取り戻すことにつながると信じているのだ。
彼らは、いまも、問い続けている。この町の青く美しかったあの空は、一体誰に奪われたのか。そして、いま、誰が何をしなくてはならないのか。
Peace ピース
Peace
監督・製作・撮影・編集:想田和弘 製作補佐:柏木規与子
撮影協力:共助グループ喫茶去 岡山済生会総合病院 移動ネットおかやま
配給:東風
「平和って何だろう?どうしたらみんなが共存できるの?」韓国の映画祭から、この「人類永遠の問い」を向けられた想田和弘監督は、岡山で暮らす人々や猫の何気ない日常にカメラを向けた。平和と共存へのヒントは、どこか遠くではなく、自分たちの毎日の生活、足元にこそ潜んでいるのではないか。そう、想田は思ったからだ。
想田の妻の実家・柏木家に住みついた野良猫グループと、突如現れた「泥棒猫」との確執。91歳の独居老人・橋本至郎と、彼をボランティア同然で介護・支援する柏木夫妻。その夫妻自身にも迫る老い。そして、己の死を見つめる橋本の脳裏に突然蘇った、兵隊としての記憶―。台本無しで回される想田のカメラは、彼らの人生や“ニャン生”に訪れる大切な瞬間に奇跡的に立ち会う。観る者は、戦争と平和、生と死、拒絶と和解、ユーモアと切なさが同居する「生の時間」を体感し、「共に生きる」ことの難しさと可能性に思いを巡らせる。それが想田監督が放つ、ナレーション・テロップ・音楽無しの「観察映画」最新作『Peace』なのだ。
無常素描
The Sketch of Mujo
監督:大宮浩一 企画:長尾和宏、大宮浩一
撮影:山内大堂 編集:遠山慎二 整音:石垣哲
構成:辻井潔 車両:港谷泰之 製作・著作:大宮映像製作所 配給:東風
東日本大地震発生から一ヶ月あまり――。
車窓に、瓦礫の山と広漠たる荒野の、灰色の風景が流れてゆく。
一人の映画作家が、尼崎の町医者とともに被災地へ向かっていた。
そこで出逢ったひとびとは、静かに語りはじめる。一台のカメラが、その声と風景を何度も往復しながら、ただひたすらに素描を重ねていく。監督は、『ただいま それぞれの居場所』で、介護現場のいまと希望を描き、平成22年度文化庁映画賞「文化記録映画大賞」を受賞した大宮浩一。
日付も地名も、人の名も付すことのないこの映画は、未曽有の大地震と津波の跡を、そして、その後もなお続くいとなみを、決して情報に還元することなく、スクリーンに大きく映しだしてゆく――はたして「復興」とは何を意味するのか? 私たちは何処へゆくのか? 映画館の暗闇に、いくつもの問いが、浮かんでは、消えていく。
朱花の月
Hanezu
出演:こみずとうた、大島葉子、明川哲也、麿赤兒、小水たいが、
樹木希林、西川のりお、山口美也子、田中茜乃介
脚本・監督・撮影:河瀨直美 音楽:ハシケン 録音:伊藤裕規 美術:井上憲次
製作:橿原・高市広域行政事務組合+組画 配給:組画 配給協力:東風
古代の記憶が宿る、万葉の地・飛鳥 ―――
ここには“待つ”ことのなかで、その命をまっとうした人々がいた。
2011年カンヌ国際映画祭コンペティション部門 正式招待
遠い昔より、神々の宿る地とされている畝傍(うねび)山、香具(かぐ)山、耳成(みみなし)山――飛鳥地方にある“大和三山”は、今なお万葉の時代と変わらぬ姿を見せている。染色家の加夜子(大島葉子)は、地元PR紙の編集者の哲也(明川哲也)と長年一緒に暮らしているが、かつての同級生で木工作家の拓未(こみずとうた)と、いつしか愛し合うようになっていた。幸せなときを過ごすふたりだったが、加夜子が身ごもったことを機に、平穏な日常に変化が訪れる。大和三山を男女になぞらえ「一人の女を二人の男が奪い合う」。幾多の万葉歌に詠われているように、それは今も昔も変わることはないのか……。
トーキョードリフター
TOKYO DRIFTER
監督:松江哲明 主演・音楽:前野健太
撮影:近藤龍人 録音:山本タカアキ 制作:岩淵弘樹 車両:大西裕 現場記録:九龍ジョー
製作:Tip Top 配給:東風
2011年5月。東日本大震災後、ネオンが消えた東京の街
降りしきる雨の夜をミュージシャン・前野健太が歌い、叫び、さすらってゆく。
濡れたアスファルトに、ありったけのユーモアとペーソスを刻みつけながら、新宿、渋谷、そして街の外へー
監督は『あんにょんキムチ』(99)以降、『童貞。をプロデュース』(07)、『あんにょん由美香』(09)など独特のアプローチで個人と時代とをつなぎ、 ゼロ年代のニッポンを映し続けてきた松江哲明。
「いま、この東京の姿を記録しておきたい」と、どしゃ降りの雨のなか撮影を敢行。第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した『ライブテープ』(09)につづき、撮影に近藤龍人(『海炭市叙景』『さや侍』)、録音に山本タカアキ(『SR サイタマノラッパー』)。
そして、完成したのは松江哲明監督作品史上もっとも瑞々しく、もっとも暴力的な映画だ。見えない放射能の影に怯えながら、モヤモヤしながら、揺れながら。それでもこの街で生きていく私たちのいま。2011年12月、この街の夜は『トーキョードリフター』とともに明けるのだ!
公開講座 木村栄文レトロスペクティブ
KIMURA EIBUN RETROSPECTIVE
●記者ありき 六鼓・菊竹淳 ●鳳仙花〜近く遙かな歌声〜 ●むかし男ありけり ●絵描きと戦争
●桜吹雪のホームラン〜証言・天才打者大下弘〜 ●記者それぞれの夏 〜紙面に映す日米戦争〜
主催:RKB毎日放送 映画美学校 東風
まだ観ぬ作家を追悼することも再評価することもできないはずだ
ようこそ、めくるめく“エーブン”の世界へ
木村栄文(きむら・ひでふみ)。通称“エーブン”。2011年3月に逝去。RKB毎日放送のディレクターとして、1970年代から90年代にかけて、数々の ドキュメンタリーをお茶の間に届けてきた。その多彩な作風は自由奔放、ときに荒唐無稽。画面から溢れだすのは、人間の美しさ、哀しさ、そして可笑しさ。 2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に集まった人々を激しく興奮させた比類なき作品群を一挙公開。
311
311
写真撮影:綿井健陽 / 配給:東風
日本|2011|HD|日本語|92分|
東日本大震災発生から2週間後、一台の車が被災地へと向かっていた。
作家で映画監督の森達也、映像ジャーナリストの綿井健陽、映画監督の松林要樹、映画プロデューサーの安岡卓治。
震災をその目で確認すること、それだけが共通の目的だった。ガイガーカウンターが激しく反応するなか、東京電力福島第一原子力発電所への接近を試み、津波の被害をうけた土地を訪ね、岩手、宮城を縦走。そして、津波に飲みこまれた石巻市立大川小学校へと向かう。依然行方不明のわが子を探す親たちの言葉が、メディアの姿勢をも問う。遺族を目の前にしながらビデオカメラを廻し続ける彼らにも厳しい批判が向けられる。
季節、めぐり それぞれの居場所
撮影 山内大堂 編集 辻井潔 サウンドデザイン 石垣哲
題字 坂谷彦山 音楽 森圭一郎
製作・著作 大宮映像製作所 配給 東風
2012年|HD|16:9|日本|82分
老舗の福祉施設、若者が立ち上げた宅老所、雪が舞う北の地で続くデイサービス、そして、東日本大震災直後の介護付有料老人ホーム、真夏の被災地ではじまった寄り合いサロンなどを取材。「介護」や「ケア」と呼ばれるいとなみのなかで、利用者と介護スタッフたちがともにつくりあげた"それぞれの居場所"を見つめます。そこでは、「老い」や「死」と向き合うことで培われた、それぞれの"生"への想像力が息づいています。監督は『ただいま それぞれの居場所』で、平成二十二年度文化庁映画賞「文化記録映画大賞」を受賞した大宮浩一。そして、また新しい"春"が来る。
相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶
Fukushima:memories of the lost landscapes
製作・著作 3JoMa Film 配給 東風
日本 | 2011 | HD | 日本語 | 109分
東京電力福島第一原子力発電所から20キロ圏内にある南相馬市原町区江井地区。2011年4月3日、津波と放射能汚染と強制退去で様変わりしたこの地域へ、松林要樹は救援物資を携えて向かった。市議会議員田中京子さんとの偶然の出逢いから、松林の取材生活が始まる。ときに避難所で寝泊まりしながら、被災の後に流れる特異な時間を現地の人々と共に生き、その表情と肉声を間近から捉える。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2011で本作が上映されると、会場は笑いと涙につつまれた。逆境に立ち向かう者同士が交わすユーモア。いつの世もかわらぬ男女の機微。土地を、自由を奪われた人々の背景で咲き誇る桜の花。いくつもの美しい映画的な瞬間を湛えながら『相馬看花』は、原発事故によって奪われた土地の記憶へと迫っていく。
死刑弁護人
音楽:村井秀清 音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:岩井彰彦 音声:伊藤大介 スクリプター:河合舞
題字:山本史鳳 CG:東海タイトル・ワン 音響効果:久保田吉根
編集:山本哲二 アソシエイトプロデューサー:安田俊之
協力:フジテレビ、関西テレビ、テレビ西日本、テレビ新広島
監督:齊藤潤一
製作・著作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2012年|97分|HD|16:9|日本|ドキュメンタリー
「オウム真理教事件」麻原彰晃。「和歌山毒カレー事件」林眞須美。「名古屋女子大生誘拐事件」木村修治。「光市母子殺害事件」元少年。死刑事件を請け負う弁護士は少ないといわれるなか、これらすべての死刑事件の裁判を担当している弁護士・安田好弘氏。ドキュメンタリー映画『死刑弁護人』は、安田氏の生き様を通して、マスコミや検察の情報を鵜呑みにし、被疑者へのバッシングを繰り返す私たち、そしてこの国の司法のありように疑問を投げかける。
演劇1 演劇2
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作補佐:柏木規与子
製作:ラボラトリーX
助成:独立行政法人国際交流基金ドキュメンタリー助成プログラム
配給:東風
演劇1|2012年|日本・米国|2時間52分|HD
演劇2|2012年|日本・米国・フランス|2時間50分|HD
日本を代表する劇作家で演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇団・青年団。『演劇1』は、その創作現場にカメラを向け「平田オリザの世界」を徹底解剖する。芸術とは何か?日本の演劇界を永久に変えた、平田芸術の理論と実践。その神髄にカメラが迫る!
『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。コストも時間もかかる超アナログな芸術である演劇は、21世紀を生き残れるのか?演劇とお金、政治、教育、ロボット、国際化。そこから垣間見える現代社会!
長良川ド根性
音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:田中聖介 音声:小原丈典
水中撮影:岩井彰彦、神辺康弘、森恒次郎 効果:柴田勇也
TK:須田麻記子 CG:多田基朗 題字:山本史鳳 アソシエイトプロデューサー:安田俊之
編集:奥田繁 協力:長良川市民学習会、長良川水系・水を守る会、桑名市博物館
監督:阿武野勝彦、片本武志 配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2012年|80分|HD|16:9|日本|ドキュメンタリー
1500億円を投入した長良川の流れを遮る河口堰の建設から16年が過ぎた。建設に反対を続けていた漁師達は、変わり果てた河口で生きる道を模索してきた。絶滅寸前まで追い込まれたハマグリの漁獲も徐々に回復し、今では若い漁師たちも増え、浜に活気が戻り始めていた。そんな状況の中ーー。寓話のようなホントの話。政治の民意の見えざる荒波に、漁師たちが守ろうとしたもの。
ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ
Documentary Film The Cat that Lived a Million Times
監督・撮影:小谷忠典
プロデューサ:大澤一 生、加瀬修、木下繁貴
編集:辻井潔 構成:大澤一生 整音:小川武
音楽:CORNELIUS 協力:オフィス・ジロチョー、講談社
助成:文化芸術振興費補金
製作:ノンデライコ、contrail東風
配給:東風
2012|日本|91 min|HD|ドキュメンタリー
病で余命を宣告された作家・佐野洋子と、それぞれの生きづらさと向き合う読者たち――35年読み継がれてきた絵本が紡ぐ、命をめぐる物語。
絵本「100万回生きたねこ」は、絵本作家でエッセイストの佐野洋子さんの手によって、1977年に生まれました。100万回死んで100万回生まれかわった一匹の「ねこ」の数奇な運命を描いたこの絵本は、つねに新しい読者を生みつづけています。累計部数は180万部を突破。今年、刊行35周年を迎えます。
なぜ、「100万回生きたねこ」は、いまなお世代を越えて読み継がれているのでしょうか。
『ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ』は、その秘密と、作者である佐野洋子さんの世界をゆっくりとひも解いていきます。
サンタクロースをつかまえて
Chasing Santa Claus
録音:辻井潔、沼倉光乃 特機:辻井潔 編集:山内大堂、岩淵弘樹
整音:山本タカアキ 車両:浅野政彦 音楽録音:馬場友美
宣伝美術:成瀬慧 予告制作:辻井潔 宣伝・配給:東風
撮影協力 2011仙台光のページェント実行委員会 カトリック八木山教会 早坂芳子 cafe Mozart book cafe 火星の庭 池袋ミュージックオルグ 7e.p.
制作協力 大澤一生 上落合スタジオ
2012|日本|HD|80min
2011年12月、岩淵監督の地元・仙台は震災後初のクリスマスを迎えた。55万個のLED電球が津波で流され開催が危ぶまれた光のページェントが、今年も街を照らした。教会では歌と祈りが捧げられ、子どもたちの枕元にはサンタクロースからのプレゼント。仙台在住のミュージシャンが震災直後に避難所で演奏した映像を動画サイトにアップした思い。そして、22歳までサンタクロースを信じていたという監督と、その両親。震災後も続く営みのなかで、それぞれのクリスマスを迎える人々をとびきり愛おしく映し出したファンタジック・ドキュメンタリー。麓健一、yumbo、はっぴいえんどの音楽にのせて贈る、魔法のようなクリスマスムービー!
約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯
Promise: The Nabari Poisoned Wine Case, The Life of a Death-row Inmate
監督・脚本:齊藤潤一
製作:広中幹男 喜多功 音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:坂井洋紀 照明:角川雅彦 録音:遠藤淳
美術:高宮祐一 記録:須田麻記子 題字:山本史鳳 音響効果:久保田吉根
編集:奥田繁 助監督:丹羽真哉 監修:門脇康郎 プロデューサー:阿武野勝彦
製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2012年|120分|HD|16:9|日本
獄中から無実を訴え続けている死刑囚がいます。奥西勝、86歳。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡しました。「名張毒ぶどう酒事件」です。奥西は一度は犯行を自白しますが、逮捕後、一貫して「警察に自白を強要された」と主張、1審は無罪。しかし、2審で死刑判決。昭和47年、最高裁で死刑が確定しました。戦後唯一、無罪からの逆転死刑判決です。
事件から51年――際限なく繰り返される再審請求と棄却。その間、奥西は2桁を越える囚人が処刑台に行くのを見送りました。いつ自分に訪れるか分からない処刑に怯えながら。
あなたは、その恐怖を、その孤独を、その人生を、想像することができますか?
長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ
YASUKO NAGAMINE Barefoot Flamenco
監督:大宮浩一
撮影:山内大堂 編集:遠山慎二 整音:石垣哲
助成:文化芸術振興費補助金 製作:大宮映像製作所
配給:東風
2013年|85分|HD|16:9|日本
本作は、世界的なトップダンサーであり、日本のフラメンコの先駆者、長嶺ヤス子のいまを見つめる。自由奔放な舞姫は、現代という時代をどのように見つめているか? 烈しい舞台とは対照的に、100匹以上もの捨て猫や犬と暮らし、静かに油絵を描き続ける日常とは? いま、その栄光と葛藤の歴史が、彼女自身の言葉で語られ、躍り続ける肉体そのものが、その歴史を表現する。
監督は『ただいま それぞれの居場所』『季節、めぐりそれぞれの居場所』『無常素描』など、制度に縛られない人々の営みを描き、文化庁映画賞文化記録映画大賞、山路ふみ子福祉賞を受賞した大宮浩一。
犬と猫と人間と2 動物たちの大震災
構成・編集・プロデューサー:飯田基晴
音楽:末森 樹 整音:米山 靖
宣伝イラスト:うさ 宣伝写真:浅岡恵 宣伝デザイン:成瀬慧
製作:映像グループローポジション 配給:東風
2013年|104分|HD|16:9|日本
東日本大震災では多くの人々、犬や猫などの動物たちが被災しました。しかし被災した動物の数は自治体でも把握しきれていません。今なお保護活動が行われていますが、私たちにはその現状を知ることさえ難しいのです。
「まだ新しい犬は飼えないけど、いつかまた…」津波で愛犬を失った夫婦が、喪失を受け止めてゆく長い道のりに寄り添いました。津波を生き延びた男性と野良猫が再会し、次第に家族となっていく姿など、いくつもの別れと出会いを見つめます。原発事故に翻弄される福島では、取り残された犬や猫を待っていた苦難が今も続き、飼主やボランティアの人々の複雑な思いが交錯します。残されたのは犬や猫だけではありません。被ばくした牛たちを生かすべきか否か、畜産農家とボランティアの人々が立場を越えて困難に立ち向かう姿を通して、いのちの意味を問うていきます。
選挙2
製作補佐:柏木 規与子
配給・宣伝:東風
2013年|2時間29分|HD|16:9|日本・米国|観察映画第5弾
舞台は、2011年4月の川崎市議会選挙。震災で実施が危ぶまれた、あの統一地方選挙だ。映画『選挙』(07年)では自民党の落下傘候補だった「山さん」こと山内和彦が、完全無所属で出馬した。スローガンは「脱原発」。自粛ムードと原発「安全」報道の中、候補者たちは原発問題を積極的に取り上げようとしない。小さな息子のいる山さんはその状況に怒りを感じ、急遽、立候補を決意したのだ。かつて小泉自民党の組織力と徹底的なドブ板戦で初当選した山さん。しかし、今度は違う。組織なし、カネなし、看板なし。準備もなし。選挙カーや事務所を使わず、タスキや握手も封印する豹変ぶりだ。ないないづくしの山さんに、果たして勝ち目は?
標的の村
撮影:寺田俊樹・QABQAB 報道部 音声:木田 洋 タイトル:新垣政樹 MA :茶畑三男
統括プロデューサー:賀数朝夫 プロデューサー:謝花 尚
監督:三上智恵
制作・著作:琉球朝日放送 配給:東風
2013 年| HD |16 :9|日本|91分|ドキュメンタリー
日本にあるアメリカ軍基地・専用施設の74%が密集する沖縄。5年前、新型輸送機「オスプレイ」着陸帯建設に反対し座り込んだ東村・高江の住民を国は「通行妨害」で訴えた。2012年9月29日、オスプレイ強硬配備前夜。台風17号の暴風雨の中、人々はアメリカ軍普天間基地ゲートに座り込み、22時間にわたってこれを完全封鎖した。この全国ニュースからほぼ黙殺された前代未聞の出来事の一部始終を地元テレビ局・琉球朝日放送の報道クルーたちが記録していた。TV版を91分に再編集し、劇場版として公開する。
ペコロスの母に会いに行く
大和田健介 松本若菜 温水洋一 原田知世 宇崎竜童
スタッフ 監督:森崎東 原作:岡野雄一 脚本:阿久根知昭 企画:井之原尊
プロデューサー:村岡克彦 音楽プロデューサー:大川正義 主題歌:「霞道(かすみじ)」一青窈
撮影監督:浜田毅 照明:高屋齋 録音:本田孜 美術:若松孝市
制作:素浪人 配給:東風
2013年|DCP|ビスタ|日本|113分|
原作は、長崎在住の漫画家・岡野雄一のエッセイ漫画『ペコロスの母に会いに行く』。深刻な社会問題として語られがちな介護や認知症。でも、主人公のゆういちはこう言います。“ボケるとも、悪か事ばかりじゃなかかもしれん”。そんな自身の体験をもとに描かれた認知症の母との何気ない日常が、多くの共感と感動を呼び、現在18万部を超えるベストセラーに。監督に喜劇の巨匠・森﨑東、主演に岩松了、赤木春恵を迎え、そして、ここにまったく新しい介護喜劇映画が誕生しました!
祭の馬
The Horses of Fukushima
プロデューサー:橋本佳子 撮影協力:加藤孝信 山内大堂
音楽「風かおる中央アジア」より 助成:文化芸術振興費補助金
製作:3JoMa Film ドキュメンタリージャパン 東風
2013年|HD|16:9|日本|74分| ドキュメンタリー
2007年の春、まだ雪の残る青森の牧場で生まれた黒鹿毛の牡馬は、ミラーズクエストと名づけられた。2010年9月18日、中山競馬場でデビューするが、結果は16頭中16着。その後も勝つことができず、2011年1月2日の水沢競馬場でも9頭中9着。翌日、地方競走馬登録を抹消された。通算成績は、4戦0勝・獲得賞金0円。引退後は福島県南相馬市へ移され、未勝利馬はそこで余生をおくることになった。
そして、あの3月11日を迎える。
激しい津波が彼の馬房を襲った。濁流から奇跡的に生還したものの、不運は続いた。東京電力福島第一原子力発電所の事故により、水と食料を絶たれ、飢え、渇いた。さらに、けがをしたおちんちんが大きくハレたまま、もとにもどらなくなってしまったのだ。
そこに、一人の映画作家がカメラを持って現われた。彼の名は松林要樹。
ミラーズクエストを一目見た松林は思った。「これは、他人ごとではない――」
ホームレス理事長
撮影:中根芳樹 音声:栗栖睦巳 効果:久保田吉根 TK:河合舞 編集:高見順
監督:圡方宏史 制作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2013年|HD|日本|110分|ドキュメンタリー
東海テレビドキュメンタリー劇場第6弾は、もうテレビでは見られない。
巨悪を映したわけではない。秘密を暴いたわけでもない。
懸命に生きる一風変わった市井の人を追った映像が、なぜ虎の尾を踏んだのか?
様々な事情で高校をドロップアウトした球児たちに「再び野球と勉強の場を」と山田豪理事長がNPOルーキーズを創設したのは、二年前。いま愛知県常滑市のグラウンドには白球を追いかける若者の声が響いている。しかし何かがおかしい。「大人も泥まみれになって子供と一緒に這いあがる。それがルーキーズの理念、魂」熱っぽく語る理事長の自宅は、真っ暗。電気・ガス・水道が止まっていた。ルーキーズは資金繰りに窮していた。理事長は諦めない。寄付集めに奔走し、消費者金融に手を出し、挙句、取材クルーに借金を頼み込む。そしてカメラの前でヤミ金の借入申込書にペンを走らせた。
僕がジョンと呼ばれるまで
Do you know what my name is?
撮影:松本克巳 取材:水野 潤
スペシャルサポーター:株式会社公文教育研究会/株式会社エーゼット/株式会社カーブスジャパン
株式会社ジェーシーアイ/セコム株式会社
技術協力:コスモ・スペース オブ アメリカ 制作協力:共同テレビジョン 製作・配給:仙台放送 配給協力:東風
2013年|HD・DCP|日本・アメリカ|82分|ドキュメンタリー
老いること、それは誰も避けることができない人生の季節。肩の荷を下ろすように、少しずつ過去のことを忘れていくのは自然なことです。しかし、たとえば認知症。いまだに根本的な治療法はなく、突然のことに本人も家族も戸惑います。
この映画はアメリカのとある高齢者介護施設の人々の挑戦を記録したドキュメンタリーです。ここに暮らす多くの人が認知症。スタッフのジョンは毎日たずねます。『僕の名前を知っていますか?』でも、答えはいつも「いいえ」。何度名前を伝えても覚えていません。そんな彼女たちが挑戦したある取り組みが、いつものの生活を少しずつ変えていきます。スタッフと一緒に、読み書きなどの学習で認知症の改善を目指すチャレンジ。彼女たちは仲間と一緒に取り組むことで、大切なものを思い出していきます。そしてそのことは、ジョンやスタッフ、そして家族をも笑顔に変えていきます。
神宮希林 わたしの神様
音楽:村井秀清 音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:中根芳樹 谷口たつみ 取材:佐藤岳史
制作協力:ホーボーズ 松永英隆 船戸秀生 小林敬 編集:奥田繁 協力:神宮司庁 神社本庁
監督:伏原健之 製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風 特別協賛:赤福
2014 年|HD|日本|96 分|ドキュメンタリー
樹木希林 はじめてのお伊勢参り どうぞごいっしょに、式年遷宮をめぐる旅へ
旅人は、樹木希林。「自分の身を始末していく感覚で毎日を過ごしている」。本作は、そう語る希林さんの人生はじめての「お伊勢参りドキュメント」。旅は、希林さんの東京の自宅からはじまります。2013 年、伊勢神宮は二十年にいちどの式年遷宮の年。遷宮とは、いうなれば、神様のお引越し。参宮街道を行き、お
白石持行事などの祭事に参加、伊勢神宮の神域をめぐり、広大な神宮林の山に登り、俳句をひねる。女たちが祈る志摩の石神さまも訪ねます。
ところで、神様ってホントにいるんでしょうか? いるとしたら、どこに?真新しい檜の香。淨闇に包まれた内宮の遷御。夢とも現実ともつかぬまま深まってゆく、旅。生きることについて、いのちについて、家族について、それからやっぱり、愛について想いをはせる。そんなお伊勢参り。
あなたもどうか、ゆるりごいっしょください。
石川文洋を旅する
a Voyage of Bun-you:VETNAM and OKINAWA
音響デザイン:石垣哲 挿入歌:古謝美佐子『天架ける橋』より「天架きる橋Ⅱ」「家路」
助成:文化芸術振興費補助金 製作:大宮映像製作所 配給:東風
2014 年|HD|日本|109 分|ドキュメンタリー
青年は、いかにして戦場カメラマン石川文洋となったのか?
石川文洋さんは1938 年沖縄に生まれた。世界一周無銭旅行を夢みて日本を脱出。64年から南ベトナム政府軍・米軍に従軍し、戦場カメラマンとしてベトナム戦争を世界に伝えた。そして68年末に帰国してから今日にいたるまで、ふるさと沖縄の姿を記録し続けている。
本作は、75歳になった文洋さんとともにベトナムと沖縄を旅し、その生立ちと青春とを見つめる。切り売りした命がけのネガフィルム、サイゴンの下宿、アオザイを着たスチュワーデスの神秘的な魅力、解放戦線兵士が眠る烈士墓地、幾世代にも及ぶ枯葉剤の影響。そしていまなお沖縄に張り巡らされるフェンス、配備されたばかりのオスプレイ。
リヴァイアサン
Leviathan
2012年|米・仏・英|87分|DCP|1.85:1|5.1ch|
ニューベッドフォードーーかつて世界の捕鯨の中心であり、文豪ハーマン・メルヴェルの「白鯨」をインスパイアしたあの港町から、我々は巨大な底引網漁船アテーナ号とともに絶海へむかう。危険で過酷な漁は数週間にわたり、船は漆黒の海を航く。そこでは昼と夜、美と恐怖、生と死とが不気味に溶けあい、やがて我々の時空の感覚を狂わせていく。
カメラは網の中でもがく魚たちや、上空を飛び交うカモメの目線となり、虚空を舞い、海中へとダイブする。泡立つ波音、クレーンの軋み、波に揉まれた船体があげるうめき。圧倒的な映像と音響の奔流。『リヴァイアサン』は、そのただなかに我々を放りこむ。もはやこれは黙示録の体験である。
物語る私たち
STORIES WE TELL
2012年|カナダ|108分|DCP|
ポーリー家の母ダイアンは太陽みたいに明るく、無邪気だった。そんなダイアンが愛する夫と5人の子どもたちを残し、若くして亡くなったとき、末っ子のサラはまだ11歳。兄弟たちは言った。「サラだけがパパに似てない」。そんなポーリー家おきまりのジョークに、サラはほんの少し不安になる。本当のパパはパパじゃないかもしれない。いつしかサラは、ママの人生を探り出す。その時みんなの口からあふれ出したのは、サラの知らない母・ダイアンの秘密の恋だったー。
女優・映画監督のサラ・ポーリーが、自身の出生にまつわる家族の秘密を、ウィットとユーモアをたっぷりこめて描いた真実の物語。
イラク チグリスに浮かぶ平和
Peace on the Tigris
ポストプロダクション・プロデューサー:安岡卓治 編集:辻井潔
配給:東風 製作:ソネットエンタテインメント/綿井健陽
2014年|日本|108分|BD・DCP|アラビア語・英語|日本語字幕
この戦争を日本が支持したことを憶えていますか?ジャーナリスト綿井健陽が描く戦乱の10年
大量破壊兵器保有を口実に、2003年3月の米英軍によるバグダッド空爆から始まったイラク戦争。これまでに10万人以上のイラク人が命を奪われた。2011年にオバマ米大統領が「イラク戦争終結」を宣言し、米軍はイラクから撤退したが、いまなお混乱は続き、2014年8月に米国はイラク北部を再び空爆した。おびただしい死者と引き換えに、イラクの人々が時折抱いた希望は浮かんでは消え、“イラクの春”は、砂塵と爆音のかなたにかすむ。日本も支持した戦争は何をもたらしたのか?
2013年3月、ジャーナリストの綿井健陽は、これまで出会ったイラク市民の写真を手にバグダッド市街を走り回っていた。開戦前夜、空爆、米軍による制圧と占領、宗派抗争、爆弾テロ……様々な局面を取材し続けてきた綿井が、彼らの人生の「その後」を追い、戦乱の10年を描き出す。
加藤くんからのメッセージ
The message from KATO kun
配給:東風
2012年|日本|90分|BD|ビデオ|カラー|ドキュメンタリー
空前の“妖怪”ブームに沸くニッポン。そんな空気をぶっ壊す!妖怪史上、最も人間臭い妖怪、ここに誕生!!
加藤くん、36歳・独身。大学受験の失敗、大失恋、漫画家になる夢の挫折。
青春のすべてを過ごした早稲田大学を11年かけて卒業するも、契約切りにおびえながら月収9万円で働く日々。そんなどん底の彼を這い上がらせたのは、“妖怪になる”という夢だった。
作家・沢木耕太郎さんから贈られた「in your own way」という言葉、そして芸術家・荒川修作さんの思想を胸に、彼は妖怪・加藤志異(かとうしい)として生まれ変わる!
夢を失った大人たちに今日もどこかで、妖怪・加藤くんは“妖怪演説”と称した叫び声をあげている。
「夢は叶う!だから僕は、妖怪になる!僕らの夢よ、届け!」
彼の妖怪活動と人間活動を2年間追いかけたのが監督/萌え声OL・綿毛(わたげ)だ。
映画をつくることが“夢”だった彼女が初めて製作した本作は「イメージフォーラムフェスティバル2012」で観客賞に輝いた。妖怪と萌え声OLが非リア充たちに贈る、人間応援ドキュメンタリー。
選挙
CAMPAIGN
製作:Laboratory X, Inc. 協力:IFP
登場人物:山内和彦、山内さゆり、小泉純一郎、川口順子、石原伸晃、萩原健司、橋本聖子 ほか
ドキュメンタリー|120分|カラー|日本/アメリカ|デジタル上映(16:9/ステレオ)
2005年秋。東京で気ままに切手コイン商を営む「山さん」こと山内和彦(40歳)は、ひょんなことから自民 党に白羽の矢を立てられ、市議会議員の補欠選挙に出馬することになった。政治家の秘書経験もない山さんは、政治の素人。しかも選挙区は、ほとんど縁もゆか りもない川崎市宮前区だ。地盤どころか後援会すらないまま、激しい選挙戦に突入することになる。
しかし、自民党としても負ければ市議会与党の座を奪われてしまう大事な選挙。何としても勝たなければならない。地元選出の自民党議員や秘書たちによる激烈な戦闘態勢が組まれ、世にも過酷なドブ板戦が始まった。
精神
MENTAL
出演:「こらーる岡山」のみなさん 他
撮影協力:こらーる岡山/共助グループ・喫茶去/パステル作業所/ミニコラ作業所/北ふれあい介護サービスセンター/岡山県介護研修センター
2008/アメリカ・日本/カラー/135分/デジタル上映(16:9/ステレオ)/ドキュメンタリー
「正気」とは?「狂気」とは?心の傷に包帯は巻けるのだろうか?
格差社会、ひきこもり、ニート、ネットカフェ難民、ワーキング・プア、無差別殺人…現代日本。閉塞的で 孤独感がただようこの国で、誰もが「生きにくさ」を感じたことがあるのではないだろうか。『精神』は、精神科にカメラを入れ、その世界をつぶさに観察。 「正気」と「狂気」の境界線を問い直し、現代人の精神のありように迫った。同時に、心に負った深い傷はどうしたら癒されるのか、正面から問いかける。
ここにある病。ここにある、小さな光。
外来の精神科診療所「こらーる岡山」に集う様々な患者たち。病気に苦しみ自殺未遂を繰り返す人もいれば、病気とつきあいながら、哲学や信仰、芸術を深めていく人もいる。涙あり、笑いあり、母がいて、子がいて、孤独と出会いがある。そこに社会の縮図が見える。
代表である山本昌知医師のモットーは、「病気ではなく人を看る」、「本人の話に耳を傾ける」、「人薬(ひとぐすり)」。精神科病棟の鍵を取り払う運動にも取り組んできた「現代の赤ひげ」とも言える彼は、患者たちが地域で暮らしていける方法を模索し続けている。
みんなの学校
監督:真鍋俊永、ナレーション:豊田康雄、企画:迫川 緑、プロデューサー:中尾雅彦、加藤康治、兼井孝之
撮影:大窪秋弘、撮影助手:堀 貴人、編集:北山 晃、編集協力:秦 岳志、整音:中嶋泰成
音響効果:萩原隆之、題字:谷 篤史
製作:関西テレビ放送、配給:東風
2014年|日本|106分|BD・DCP|ドキュメンタリー
不登校も特別支援学級もない、同じ教室で一緒に学ぶ。ふつうの公立小学校のみんなが笑顔になる挑戦。
ここでは、特別支援教育の対象となる発達障害のある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力を振るってしまう子も、みんなで見守ります。あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの?
そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。やがて彼は、この学び舎で居場所をみつけ、春には卒業式を迎えます。いまでは、他の学校へ通えなくなった子が次々と大空小学校に転校してくるようになりました。
映画は、そんな大空小学校の一年間を追い、ありのままにすべてを映します。そもそも学びとは何でしょう?そして、あるべき公教育の姿とは?本作を観ながらいっしょに考えてみませんか。
(c)Verena Paravel and J.P. Sniadecki
(c)Arrete Ton Cinema 2012 (c)Stephanie Spray and Pacho Velez
ハント・ザ・ワールド
『ニューヨーク ジャンクヤード』2010年/米、仏/80分/デジタル/原題:Foreign Parts
『リヴァイアサン』2012年/米、仏、英/87分/デジタル/原題:Leviathan
『マナカマナ 雲上の巡礼』2013年/ネパール、米/118分/デジタル/原題:MANAKAMANA
配給:東風 配給協力:(社)コミュニティシネマセンター、gnome
あたらしい世界と出会う。世界をあたらしくまなざす。そんな旅の水先人は世界最高峰の人類学者たち。ハーバード大学感覚民族誌学ラボ(Sensory Ethnography Lab)は、そのフィールドワークからこれまでにない独創的な映画をつぎつぎと生みだしています。
それぞれの土地とそこに暮らす人々の歴史や物語をゆたかに織りこんだ彼らの作品は、名だたる国際映画祭で驚きと興奮をもって迎えられ、ニューヨークのMoMAやパリのポンピドゥー・センターでも上映されています。
ニューヨークの裏通りから北大西洋の大海原、険しい尾根をこえて雲の上の聖地へ――未だ知られざる珠玉の作品群が、わたしたちの暮らしや人生を豊かにするちょっとキケンな世界旅行へと誘います。
『モンタナ 最後のカウボーイ』『ニューヨーク ジャンクヤード』『リヴァイアサン』『マナカマナ 雲上の巡礼』4本の作品を上映します。
コングレス未来学会議
THE CONGRESS
ポール・ジアマッティ、コディ・スミット=マクフィー、ダニー・ヒューストン
サミ・ゲイル、マイケル・スタル=デイビッド、マイケル・ランデス、サラ・シャヒ
監督 アリ・フォルマン 脚本 アリ・フォルマン アニメーション監督:ヨニ・グッドマン
編集:二リ・フェレー 音楽:マックス・リヒター
2013年|イスラエル / ドイツ / ポーランド / ルクセンブルク / フランス / ベルギー|
英語|カラー|120min|DCP・BD|原題:THE CONGRESS|原作:スタニスワフ・レム「泰平ヨンの未来学会議」
日本語字幕:和泉珠里(日本映像翻訳アカデミー) 字幕監修:柳下毅一郎
配給・宣伝:東風+gnome
『戦場でワルツを』で、自らの戦争体験をドキュメンタリーアニメーションとして描き、世界を震撼させ、アカデミー外国語映画賞®にノミネートもされたフォルマン監督。今作では、『惑星ソラリス』の原作「ソラリスの陽のもとに」で知られるSF界の巨星レムの「泰平ヨンの未来学会議」を映画化した。フォルマン監督は、映画の舞台を近未来のハリウッドに設定し、荒唐無稽なレムのSF小説の世界をアニメーションと実写を駆使したダイナミックで独創的な表現で映像化。観る者すべてを魅了する。
また今回、主演であり本作のプロデューサーとしても名を連ねるロビン・ライト(『フォレスト・ガンプ/一期一会』)は、ハリウッドで一躍脚光を浴びた女優が齢をかさね、母として役者として生きぬく本人役で出演している。他にも、名優ハーヴェイ・カイテルや躍進めざましいゴディ・スミット=マクフィー(『モールス』『猿の惑星:新世紀』)らが脇を固め、イマジネーション溢れる本作に確かな輪郭をあたえている。
戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)
We Shall Overcome
プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴 撮影:大久保千津奈
撮影協力:平田守、宜野座盛克、中村健勇 水中撮影:長田勇
編集:青木孝文 構成協力:松石泉 題字:書浪人善隆 監督補:桃原英樹
制作協力:シネマ沖縄 協力:沖縄タイムス社、琉球新報社
製作協力:三上智恵監督・沖縄記録映画を応援する会 製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵
配給・宣伝:東風
2015年/日本/DCP・BD/129分/ドキュメンタリー
日本にあるアメリカ軍基地・専用施設の74%が密集する沖縄。今、辺野古の海を埋め立てて最新のアメリカ軍基地が作られようとしている。巨大な軍港を備え、オスプレイ100機が配備されるそれは、もはや普天間基地の代替施設などではない。2014年8月14日、大浦湾を防衛局と海上保安庁の大船団が包囲。日本政府は機関砲を装備した大型巡視船まで投入して、建設に抗議するわずか4隻の船と20 艇のカヌー隊を制圧した。陸上でもなんとか工事を止めようと市民が座り込みを続ける。基地を作るのは防衛局だが、市民の前に立ちはだかるのは沖縄県警機動隊と民間警備会社。国策に引き裂かれ、直接ぶつかり合うのは県民同士だ。「私を轢き殺してから行きなさい」と工事車両の前に身を投げ出したのは、あの沖縄戦を生き延びた85歳のおばあ。彼女にとって沖縄はずっといくさの島、それを押し付けるのは日本政府だった。
沖縄の怒りは臨界点を超えた。11月の県知事選は保革を越えた島ぐるみ闘争に発展。「イデオロギーよりアイデンティティー」と新基地建設反対の翁長雄志氏が圧勝、続く衆院選でも民意を叩きつけた。しかし国策は止まらない。海上の抗議活動を屈強な「海猿」たちが排除していく。日々緊張を増す現場で負傷者や逮捕者が出る……。はたして今、沖縄で本当は何が起きているのか?
メニルモンタン 2つの秋と3つの冬
2 Automnes 3 Hivers
出演: ヴァンサン・マケーニュ モード・ウィラー バスティアン・ブイヨン オドレイ・バスティアン
ポーリーヌ・エチエンヌ トマ・ブランシャール
オリヴィエ・シャントロー 武田絵利子
2013|90min|フランス|DCP|スタンダード|5.1ch|原題:2 AUTOMNES 3 HIVERS|
日本語字幕:高部義之 宣伝美術:渋井史生 配給・宣伝:東風+gnome
(C)ENVIE DE TEMPETE PRODUCTIONS2013
後援:在日フランス大使館/アンスティチュフランセ日本
翻訳協力:須藤健太郎 協力:今井恭子、鈴木歩
パリのはずれの街、メニルモンタン。ボルドーの美大を卒業したアルマンは定職にもつけず、親友のバンジャマンと冴えない毎日を過ごしていた。33歳の誕生日にアルマンは決意する。
「仕事をみつける。運動をはじめる。タバコをやめる。」そろそろ、本当に何か起きないといけない。
ある日のジョギング。アルマンは偶然出会ったアメリに一目で恋をしたのだけれど・・・。
ふたりは考えている。共に生きていく幸せ、出会ってからの長い道のり、いくつかの試練。たぶん未来のことも。
親愛なる“ぱっとしない”大人たちの恋の季節。
70年代生まれ、美大出身、そしてまもなく冴えない青春時代を終えようとしているアルマンのストーリーは、世界中のどんな街で暮らす若者にとっても、とても親密な物語だ。
広河隆一 人間の戦場
HIROKAWA RYUICHI : human battlefields
録音:森英司 編集:鈴尾啓太 助監督:勝俣和仁 プロデューサー:橋本佳子
協力:DAYS JAPAN 制作:Documentary Japan Inc. 配給:東風
監督:長谷川三郎
2015年|日本|98分|DCP/BD|ドキュメンタリー
フォトジャーナリスト・広河隆一。その取材の歴史は1967年、イスラエル・パレスチナに始まる。82年、イスラエル軍に包囲されたレバノンのパレスチナ難民 キャンプで起きた虐殺事件を撮影、その映像が証拠として世界に配信された。89 年には西側のジャーナリストとして初めてチェルノブイリ事故によって立入禁止になった地区を取材し、隠された放射能汚染を告発した。人間の尊厳が奪われて いる場所を、広河は「人間の戦場」と呼ぶ。
活動は取材だけにとどまらない。「パレスチナの子どもの里親運動」「チェルノブイリ子ども基金」を立ち上げ、2011年の福島原発事故後には沖縄県久米島に保養センター「球美の里」を設立するなど子どもたちの救援活動に奔走する。
監督は『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』で「キネマ旬報ベスト・テン文化映画第1位」「毎日映画コンクール・ドキュメンタリー映画賞」などを受賞した長谷川三郎。パレスチナ、チェルノブイリ、福島から沖縄・久米島へ。広河隆一の原点を見つめ、現在の活動に密着する。
ヤクザと憲法
撮影:中根芳樹 音声:野瀬貴弘 オーサリング:山口幹生 TK:河合舞
音響効果:久保田吉根 CG:松井裕哉 編集:山本哲二 法律監修:安田好弘
映像協力:関西テレビ放送 監督:圡方宏史
製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2015年|日本|96分|HD|ドキュメンタリー
実録じゃなくて、これは本物 ヤクザの世界でキャメラが回る
暴力団対策法、暴力団排除条例が布かれ、ヤクザは全国で6万人を割った。この3年で2万人が組織を離脱した。しかし数字だけでは実態はわからない。ヤクザは、今、何を考え、どんな暮らしをしているのか? 大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にキャメラが入る。会長が15年の実刑判決を受けた殺人事件は暴対法のきっかけだとも言われる。組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年と実の子のように可愛がるオジキ、そして、組員の逮捕、家宅捜索の瞬間がやってくる…。会長は「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語りはじめた。ヤクザと人権…。一体、何が、起きているのか?
銀行口座がつくれず子どもの給食費が引き落とせないと悩むヤクザ。金を手持ちすると親がヤクザだとバレるのだ。自動車保険の交渉がこじれたら詐欺や恐喝で逮捕される。しかし、弁護士はほとんどが「ヤクザお断り」…。日本最大の暴力団、山口組の顧問弁護士が、自ら被告になった裁判やバッシングに疲れ果て引退を考えている。「怖いものは排除したい」。気持ちはわかる。けれど、このやり方でOKなのだろうか? 社会と反社会、権力と暴力、強者と弱者…。こんな映像、見たことない!? 強面たちの知られざる日常から、どろりとしたニッポンの淵が見えてくる。
ふたりの死刑囚
プロデューサー:齊藤潤一 監督:鎌田麗香
音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:坂井洋紀 音声:福田健太郎 編集:奥田繁
オーサリング:山口幹生 スクリプター:須田麻記子 音響効果:久保田吉根 CG:東海タイトル・ワン
題字:山本史鳳 監修:門脇康郎 映像協力:テレビ静岡、フジテレビ、アニドウ・フィルム 写真協力:中日新聞社
制作・著作・配給 東海テレビ放送 配給協力:東風
2015年|日本|85分|HD|ドキュメンタリー
再審への扉――。いまだ、開かれず
2014年3月27日、ひとりの死刑囚が釈放された。袴田巌(79歳)。昭和41年、静岡県清水市(当時)の味噌会社で4人の焼死体が見つかった「袴田事件」。袴田は確定死刑囚となった。再審開始の決定は、有罪の決め手になった血に染まった衣服のDNA鑑定の信憑性。48年ぶりに釈放された袴田は、3歳年上の姉と生活を始めた。しかし、自由になったはずの袴田も、検察の即時抗告によって再審は始まっていない。いまだ死刑囚であることに変わりはなく、年金もなければ、選挙権もない。長年の拘置所生活による拘禁反応で、精神に障害が残っている――。
2015年10月4日、ひとりの死刑囚が獄死した。奥西勝(享年89歳)。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」。奥西は35歳で逮捕され、死刑が確定したが、獄中から無実を訴え続けた。半世紀に及ぶ独房生活、その間、奥西は2桁を越える囚人が処刑されるのを見送った。ここ3年間は、八王子医療刑務所で寝たきりの生活を送っていた。奈良県の山村に暮らす4歳年下の妹は無実を信じ、片道5時間かけて兄のもとに通い続けていた――。
ふたりの冤罪を訴え続ける死刑囚とその家族の人生から浮かび上がるのは、「法治国家」日本の司法が裁いた、否、犯した罪だ。製作は東海テレビ放送。『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』の齊藤潤一が本作をプロデュースし、そのメガホンを鎌田麗香が引き継いだ。同作で奥西勝を演じた仲代達矢がナレーションをつとめる。奥西の無念の死を受け、緊急公開を敢行する。
牡蠣工場
Oyster Factory
配給・宣伝:東風+gnome
2015年|日本・米国|145分|DCP|ドキュメンタリー
人々が織りなす豊かで複雑な物語
舞台は、瀬戸内海にのぞむ美しき万葉の町・牛窓(うしまど)(岡山県)。岡山は広島に次ぐ、日本でも有数の牡蠣の産地だ。養殖された牡蠣の殻を取り除く「むき子」の仕事は、代々地元の人々が担ってきた。しかし、かつて20軒近くあった牛窓の牡蠣工場は、いまでは6軒に減り、過疎化による労働力不足で、数年前から中国人労働者を迎え始めた工場もある。
東日本大震災で家業の牡蠣工場が壊滅的打撃を受け、宮城県から移住してきた一家は、ここ牛窓で工場を継ぐことになった。そして2人の労働者を初めて中国から迎えることを決心。だが、中国人とは言葉が通じず、生活習慣も異なる。隣の工場では、早くも途中で国に帰る脱落者も。果たして牡蠣工場の運命は?
小さな世界から垣間見える グローバルで巨大な問題
ロカルノ国際映画祭に正式招待された本作は、「珠玉の智慧に満ちた映画」「目から鱗の現代日本の姿」「想田監督の最高傑作」などと、世界の批評家から絶賛された。牡蠣工場という小宇宙に、グローバル化、少子高齢化、過疎化、第一次・第二次産業の苦境、労働問題、移民問題、そして震災の影響など、大きな問題が浮かび上がってくる。想田和弘が見た世界の「現在(いま)」と日本の「未来」とは?
風の波紋
Dryads in a Snow Valley
編集・アソシエイトプロデューサー:秦岳志 編集協力:山崎陽一
音楽:「めざめのとき」天野季子(作詞・作曲・歌) プロデューサー:矢田部吉彦 長倉徳生
後援:「小林茂の仕事」Oタスケ隊 助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作:カサマフィルム 配給:東風
2015年|日本|99分|DCP|ドキュメンタリー
風がおしえてくれたこと。 いのちと暮らす、いのちを食べる。
舞台は越後妻有(えちごつまり)の里山。この雪深い村に都会から移り住んだ木暮さん夫婦は、茅葺き屋根の古民家を修復し、見よう見まねで米を作って暮らしてきた。ゴリゴリと豆を挽いてコーヒーを淹れ、野山の恵みを食卓にならべる。草木染職人の松本さんは、山桜で染めた糸を夫婦並んで手織りする。色鮮やかな着物が仕立てあがるころ、娘さんが成人式を迎えた。
悠々自適、気ままな田舎暮らしに見えるけれど、ときに自然はきびしい。冬ともなれば雪がしんしんと降り続け、来る日も来る日も雪かきに追われる。ひとりでは生きられない。茅葺きや稲刈りも協働作業だ。木暮さんのまわりには不思議と個性ゆたかな仲間が集まり、ことあるごとに囲炉裏を囲んで宴がはじまる。歌と笑い、もちろんお酒もかかせない。そうやって、ここでは新しいかたちの「結(ゆい)」がゆるやかに息づいている。
ある春の朝、大きな地震がおきた。木暮さんの家も全壊したが、彼は再建を決意する――。
『阿賀に生きる』『阿賀の記憶』のスタッフたちが見つけた ドキュメンタリー映画の新たな地平
手間を惜しまず丹念に育てられた米や野菜が、私たちの暮らしを彩るように、心をこめて作られた一本の映画が、人生のたいせつな糧となることがあります。『風の波紋』は、『阿賀に生きる』『阿賀の記憶』のスタッフたちが5年の歳月をかけて、じっくりと作りあげた映画です。
バット・オンリー・ラヴ
キャスト:円城ひとみ 酒井あずさ 蜷川みほ 芹澤りな 柄本佑 緒方明 川瀬陽太 工藤翔子 吉岡睦雄 飯島洋一
プロデューサー:寺脇研 撮影:田宮健彦 録音:弥栄裕樹 美術:飯森則裕 編集:菊池智美
助監督:坂本礼 特殊造形:松井祐一 音楽:勝啓至 佐藤全太 スチール:浅田トモシゲ
制作:国映株式会社 製作:『But only love…』製作運動体 配給:東風
2015年|日本|89分|HD|16:9
人生を映画にする。映画が人生を変える。
ガンで「声」を失くした佐野和宏、18年ぶりの復活作
伝説のカルト映画『追悼のざわめき』に主演、80~90年代にかけてピンク映画の世界で、自ら主演・脚本・監督をこなす独自のスタイルを確立した佐野和宏。代表作『Don't let it bring you down』(『変態テレフォンONANIE』)などドラスティックでメッセージ性の高い作品を次々と発表し、瀬々敬久らとともに「ピンク四天王」と称される。しかし97年以降、メガホンをとることはなく、2011年に咽頭癌を患い声帯を失っていた…。
そんな佐野和宏が18年の「沈黙」を破った。佐野は闘病の跡が刻まれた体躯をさらし、筆談でスタッフに指示をだし、俳優たちを演出する。「佐野の映画が見たい!」とプロデュースを手がけたのは映画運動家の寺脇研。飯島洋一(『狂い咲きサンダーロード』『戦争の犬たち』)をはじめ個性溢れる役者たちが、佐野の復活を祝福するかのように集まった。映画の中盤、主人公がキャメラに向かって延々と語りかける。その声は、かすれ、とぎれ、言葉にならない。しかし鬼気迫る姿から目をそらすことができない。震える魂の叫びを、なけなしの愛の物語を、ぜひ映画館で!
FAKE
プロデューサー:橋本佳子 撮影:山崎裕 編集:鈴尾啓太
制作:ドキュメンタリージャパン 製作:「Fake」製作委員会 配給:東風
2016年|日本|109分|HD|16:9|ドキュメンタリー
Fake/[féɪk]……偽造する。見せかける。いんちき。虚報。
誰にも言わないでください――衝撃のラスト12分間
『A』『A2』以来実に15年ぶりの森達也監督作。佐村河内守氏の自宅でカメラを廻し、その素顔に迫る。取材の申し込みに来るメディア関係者たち、ことの真偽を取材に来る外国人ジャーナリスト…。市場原理によってメディアは社会の合わせ鏡となる。ならばこの「ゴーストライター騒動」は、社会全体が安易な二極化を求めていることの徴候と見ることもできる。はたして何が本当なのか? 誰が、誰を騙しているのか? 映画は、この社会に瀰漫する時代の病をあぶりだしながら、衝撃のラストへとなだれ込む。
いしぶみ
原案:薄田純一郎 原構成:松山善三 撮影:山崎裕 美術:堀尾幸男 照明:中川隆一 録音:弦巻裕
演出補:可香谷慧 プロデューサー:橋本佳子 佐藤宏 制作統括:小出和昌
制作:ドキュメンタリージャパン
製作・配給:広島テレビ
配給協力・宣伝:東風+gnome
2016年|日本|85分|HD|16:9|ドキュメンタリー
碑(いしぶみ)に刻まれた旧制・広島二中の一年生321人。
幼くしてこの世を去った彼らの言葉が、
未来を生きる子どもたちへのメッセージになる。
太平洋戦争末期、それまでたった一度しか空襲がなかった広島市には、東京や大阪から多くの子どもたちが疎開してきました。戦争も最終段階に入ったこの頃は、労働力不足を補うために、中学生も建物の解体作業や農作業などにかり出されました。学校で勉強できる日は少なく、夏休みもありませんでしたが、みんな日本の勝利を信じて一生懸命働きました。
昭和20年8月6日は、朝から暑い夏の日でした。この日、広島二中の一年生は、建物解体作業のため朝早くから本川の土手に集まっていました。端から、1、2、3、4、…と点呼を終えたその時でした。500メートル先の上空で爆発した原子爆弾が彼らの未来を一瞬にして奪ったのです。少年たちは、元気だった最後の瞬間、落ちてくる原子爆弾を見つめていました。
あの日、少年たちに何が起こったのでしょうか…。遺族の手記に残された死にゆく彼らの最期を伝えます。
映画監督・是枝裕和 × 女優・綾瀬はるかによる新しい朗読劇
失われゆく戦争の記憶が語り継がれる。
昭和44年に広島テレビで放送された「碑」(いしぶみ)。名女優・杉村春子を語り部として制作されたこの作品は、多くの人々の心を震わせ、芸術祭優秀賞やギャラクシー賞などを受賞しました。そして戦後70周年を機に、この不朽の名作が現代によみがえります。
監督は、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ数々の賞に輝いた是枝裕和。語り部には、広島市出身の女優・綾瀬はるかが挑みます。『海街diary』に続き、是枝監督とタッグを組む彼女が、「遺族の手記」を切々と、静かに読み上げます。本作の舞台を務めたのは、劇団☆新感線や野田秀樹氏、三谷幸喜氏など、第一線で活躍する演出家の舞台美術を手がけている堀尾幸男。想像力を掻き立てる舞台セットが朗読を引き立てます。そして、ジャーナリストの池上彰が遺族やその関係者へのインタビューを通して、70年を経てなお残る「物語」の続きを伝えます。
列聖記念 マザー・テレサ映画祭
Mother Teresa Film Festival – Commemoration of Mother Teresa’s Canonization –
監督名:ピーター・シェファー/千葉茂樹/アン・ペトリ/ジャネット・ペトリ/マーセル・バウアー
提供:女子パウロ会 企画協力:株式会社フィールドワークス 配給:東風
後援:カトリック中央協議会広報、カトリック新聞社、カトリック東京大司教区、駐日ローマ法王庁大使館、キリスト新聞社
愛は、永遠にーー
2016年、マザー・テレサの列聖を記念して、彼女の愛に満ちた活動の軌跡を一挙上映。
宗教や人種をこえて、貧しい人々のために生きたマザー・テレサ。1979年にはノーベル平和賞を受賞。1997年に惜しまれながら亡くなるまで、彼女はその行いによって「愛」とは何かを世界中に示し続けました。彼女が設立した「神の愛の宣教者会」は135の国と地域に広がり、今なお多くの人々が彼女の精神を引き継ぎ活動しています。
そして2016年3月、バチカン(ローマ法王庁)はマザーを、ローマ・カトリック教会で最高位の崇敬対象と なる「聖人」に認定しました。式典(列聖式)は2016年9月4日、マザーの命日(9月5日)の前日に執り行われます。2010年に開催された「生誕100年記念 マザー・テレサ映画祭」。彼女の奇跡ともいえる活動を記録した、国内外の珠玉のドキュメンタリー全7本を一挙上映した映画祭は、東京都写真美術館ホールの総動員数歴代1位を更新し、映画を通じて多くの方がマザー・テレサの精神に触れました。
マザー・テレサの列聖、そして東京都写真美術館のリニューアル・オープンを記念して、多くの愛に包まれた「マザー・テレサ映画祭」が帰ってきます。
強く、美しく、優しさに満ちたマザーの姿、そして彼女が残した数々の言葉。その輝きは色あせることなく、不寛容な現代を生きる私たちに大切なことを教えてくれます。
特集上映 東海テレビドキュメンタリーの世界
企画:東風+ポレポレ東中野 提供・制作・著作:東海テレビ放送
テレビが窮屈なんて誰がいった?!
独房からお伊勢さん、裁判長からヤクザまでーー22作品を一挙公開
東海テレビは、2011年2月に劇場公開された『平成ジレンマ』以降、『死刑弁護人』や『ヤクザと憲法』といったドキュメンタリーの劇場公開を続けてきた。本特集上映は、その第10弾となる『人生フルーツ』が2017年正月に公開されることを記念し、ビデオグラム化の予定のないこれまでの全劇場公開作を上映。そして、東海テレビドキュメンタリーの代名詞とも言える「司法シリーズ」や、戦後70年の年に制作・放送されたシリーズ「戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅」など、劇場初上映となる番組を含めた、全22作を一挙上映する。
人生フルーツ
Life is Fruity
プロデューサー:阿武野勝彦 監督:伏原健之
音楽:村井秀清 音楽プロデューサー:岡田こずえ 撮影:村田敦崇 音声:伊藤紀明
オーサリング:山口幹生 TK:須田麻記子 音響効果:久保田吉根 編集:奥田繁 協力:日本映画専門チャンネル
製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2016年|91分|HD|16:9|日本|ドキュメンタリー
人生は、だんだん美しくなる。
津端修一さん90歳、英子さん87歳 風と雑木林と建築家夫婦の物語
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅。雑木林に囲まれた一軒の平屋。それは建築家の津端修一さんが、師であるアントニン・レーモンドの自邸に倣って建てたもの。キッチンガーデンを彩る70種の野菜と50種の果実は、妻・英子さんの手で美味しいごちそうに変わる。刺繍や編み物から機織りまで、英子さんは何でもこなす。
かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきた。1960年代、自然との共生を目指したニュータウン計画。けれど経済優先の時代はそれを許さず、完成したのは無機質な大規模団地。失望した修一さんはそれまでの仕事から距離を置き、自ら手がけたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てた——。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきた。そして、90歳の修一さんに新たな仕事の依頼がやってくる。
本作は東海テレビドキュメンタリー劇場第10弾。ナレーションをつとめるのは女優・樹木希林。ふたりの来し方と暮らしから、この国がある時代に諦めてしまった本当の豊かさへの深い思索がはじまる。
息の跡
trace of breath
編集:秦岳志 整音:川上拓也 特別協力:瀬尾夏美
プロデューサー:長倉徳生 秦岳志
助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作:カサマフィルム+小森はるか 配給:東風
2016年|93分|HD|16:9|日本|ドキュメンタリー
今は昔、世界の果てに、小さなたね屋があったとさ
陸前高田から届いた、忘れられない風景の記録
岩手県陸前高田市。荒涼とした大地に、ぽつんとたたずむ一軒の種苗店「佐藤たね屋」。津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんは、その跡地に自力でプレハブを建て、営業を再開した。なにやらあやしげな手描きの看板に、瓦礫でつくった苗木のカート、山の落ち葉や鶏糞をまぜた苗床の土。水は、手掘りした井戸からポンプで汲みあげる。
いっぽうで佐藤さんは、みずからの体験を独習した英語で綴り、自費出版していた。タイトルは「The Seed of Hope in the Heart」。その一節を朗々と読みあげる佐藤さんの声は、まるで壮大なファンタジー映画の語り部のように響く。さらに中国語やスペイン語での執筆にも挑戦する姿は、ロビンソン・クルーソーのようにも、ドン・キホーテのようにもみえる。彼は、なぜ不自由な外国語で書き続けるのか? そこには何が書かれているのだろうか?
ふわりとした、けれど、確かなまなざし
まるで、生まれたばかりの映画のように
監督は、映像作家の小森はるか(『the place named』、『波のした、土のうえ』瀬尾夏美との共同制作)。震災のあと、画家で作家の瀬尾夏美とともに東京をはなれ、陸前高田でくらしはじめた彼女は、刻一刻とかわる町の風景と、そこで出会った人びとの営みを記録してきた。失ったものと残されたもの。かつてあったものと、これから消えてゆくもの。記憶と記録のあわい。そのかすかな痕跡とぬくもりを彼女はうつしだしていく。あの大きな出来事のあとで、映画に何ができたのか。そのひとつの答えがここにある。
標的の島 風かたか
プロデューサー:橋本佳子 木下繁貴 撮影監督:平田守
編集:砂川敦志 監督補:桃原英樹 音楽プロデューサー:上地正昭
協力:沖縄タイムス社 琉球新報社 製作協力:沖縄記録映画製作を応援する会
製作:DOCUMENTARY JAPAN 東風 三上智恵 配給:東風
2017年|119分|DCP・BD|16:9|日本|ドキュメンタリー
「標的の島」とは、沖縄のことではない。
それは今あなたが暮らす日本列島のこと。
2016年6月19日、沖縄県那覇市。米軍属女性暴行殺人事件の被害者を追悼する県民大会で、稲嶺進名護市長は言った。「我々は、また命を救う“風かたか”になれなかった」。「風(かじ)かたか」とは風よけ、防波堤のことだ。
沖縄県民の8割の反対を黙殺した辺野古の新基地建設、全国から1000人の機動隊を投入して高江で強行されるオスプレイのヘリパッド建設。現場では多くの負傷者・逮捕者を出しながら、激しい抵抗が続く。さらに宮古島、石垣島でミサイル基地建設と自衛隊配備が進行していた。
なぜ今、先島諸島を軍事要塞化するのか? それは日本列島と南西諸島を防波堤として中国を軍事的に封じ込めるアメリカの戦略「エアシーバトル構想」の一環であり、日本を守るためではない。基地があれば標的になる、軍隊は市民の命を守らない——沖縄戦で歴史が証明したことだ。だからこそ、この抵抗は止まない。この国は、今、何を失おうとしているのか。映画は、伝えきれない現実を観るものに突きつける。
歌い、踊り、咲き誇る文化の力。
「最前線」に集まる人々、新たなる希望。
監督は『標的の村』『戦場ぬ止み』の三上智恵。大学で民俗学も講じる三上が描くのは、激しい抵抗や衝突だけではない。エイサー、パーントゥ、アンガマ、豊年祭。先祖から子孫へと連なる太い命の幹、権力を笑い飛ばし、豊穣に歓喜する農民の誇りと反骨精神。島々の自然と歴史が育んだ豊かな文化がスクリーンに咲き乱れる。そして、県民大会で古謝美佐子が歌う「童神」、辺野古のゲート前でかき鳴らされる三線の音色。高江のテントで「兵士Aくんの歌」を歌う七尾旅人のまわりには全国から駆けつけた若者たちの姿があった。この一年で安全保障政策を大転換したこの国で、平和と民主主義を守る闘いの「最前線」はどこか? それに気づいた人々が、今、沖縄に集まっているのだ。
トトとふたりの姉
Toto si surorile lui
編集:ミルチャ・オルテヌ、ゲオルグ・クラッグ 音響:マティアス・ランパート
エグゼクティブ・プロデューサー:ビアンカ・オアナ
製作:HBO EUROPE PROGRAMING、Strada Film 配給:東風+gnome
ルーマニア|2014|93min|ルーマニア語|DCP・BD|シネスコ|カラー|原題:Toto si surorile lui
トトは教えてくれる。未来を拓く力は、誰でも持っている。
甘えん坊のトト(10歳)には、ふたりの姉がいる。美しくどこか儚げなアナ(17歳)、気が強く活発なアンドレア(14歳)。お母さんは麻薬売買で服役中、お父さんのことは…顔も知らない。保護者のいない三姉弟が暮らすボロアパートは、すぐに近所の不良たちの溜まり場になってしまう。小さく丸まって眠るトトのとなりで、男たちが腕や首筋に注射針を刺す。貧困、暴力、ドラッグ、エイズ。そんな苦境に耐え切れず、やがて自らもドラッグに手を染めてしまうアナ。なんとか家族との生活を立て直そうとするアンドレアは自らもカメラを手にする。そして、トトとヒップホップダンスとの出会いをきっかけに、姉弟たちの未来が動き出す――
世界中の映画祭で希望の拍手!なんてキケンでドラマチックな現実
世界各国の映画祭で上映され、本国ルーマニアではアカデミー賞・最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞。まるでドラマのよう、けれど本作は現実の世界を映したドキュメンタリーだ。ドラッグに溺れる男たち、ブカレスト麻薬捜査部隊のガサ入れの瞬間、裁判所や刑務所の内部。そして姉弟が身を寄せ合うベッドの中へ。アレクサンダー・ナナウ監督の驚くほど透明なカメラは、ときに残酷に、ときに親密に、子どもたちが今まさに生きている世界へと、私たち観る者を没入させる。社会から取り残されたロマ・コミュニティを映しながらも、ルーマニアだけでなく、私たち自身にも起こりうる普遍的な物語だ。あらかじめ損なわれた境遇に生まれついてなお、自らの力で人生をよきものにしていこうとする子どもたち。彼らが選んだ未来に、誰もが胸を焦がすだろう。
夜間もやってる保育園
出演:エイビイシイ保育園、玉の子夜間保育園、すいせい保育所、エンジェル児童療育教室、たいよう保育園、魚住農園のみなさん ほか
企画:片野清美 プロデューサー:片野仁志/木下繁貴/大宮浩一
監督補:田中 圭 撮影:遠山慎二/前田大和 編集:辻井 潔
音響デザイン:石垣 哲 ナレーター:石川宗孝 Vocal:井塔由梨(Corriedale)
制作協力:帯広市/内閣府/全国夜間保育園連盟 助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作:社会福祉法人 杉の子会/大宮映像製作所/東風 配給:東風
日本|2017|111min|DCP・BD|カラー|16:9|ドキュメンタリー
「夜間保育園」を知っていますか?
夜間保育園は、子どもたちが安心して夜「も」過ごせる保育園です。
少子化が進むいっぽうで大きな社会問題になっている待機児童。国と自治体にとって喫緊の課題ですが、多様な働きかたや家庭の事情に対応した認可夜間保育園は全国で約80か所。夜間に子どもを預けてまで働く親と夜間保育園への偏見や批判も多くあります。だからいま、いっしょに考えてみませんか?
新宿歌舞伎町に隣接する大久保で24時間保育を行う「エイビイシイ保育園」では、完全オーガニックの給食による食育や多動的な子どもたちへの療育プログラム、卒園後の学童保育など、独自の試行錯誤をつづけていました。さらに北海道、新潟、沖縄の保育現場を取材。映画が映し出すのは、制度や数字からだけでは知ることのできない豊かな現実です。
監督は『ただいま それぞれの居場所』で介護福祉現場のいまを鮮やかに描いた大宮浩一。さまざまな事情で子どもを預ける親や保育士たちの葛藤やよろこび。すくすくと育つ子どもたちの笑顔や寝顔や泣き顔…。知られざる夜間保育の現場から、家族のありかた、働きかた、いま私たちが暮らしているこの社会のかたちを照らします。
恋とボルバキア
出演:王子/あゆ/樹梨杏/蓮見はずみ/みひろ/井上魅夜/相沢一子/井戸隆明
プロデューサー:橋本佳子/熊田辰男/森山智亘
語り:阿部芙蓉美 構成:港 岳彦 撮影:高畑洋平/髙澤俊太郎
音楽:MILKBAR 劇中歌:青木多果
製作:DOCUMENTARY JAPAN/LADAK/Blue Berry Bird 配給:東風
日本|2017|94min|DCP・BD|カラー|16:9|ドキュメンタリー
みんなちがって、みんないい、ってみんな言う。
『アヒルの子』から7年————小野さやかの最新作は、カラフルにトランスする恋とか愛のドキュメンタリー
男か、女か? 性別が二つだけではないことが、ようやく私たちの常識に登録されつつある。
大手広告代理店は、日本人の7.6%がセクシュアル・マイノリティだという推計を発表した。体の性、心の性、好きになる性、表現する性…。いくつもの要素からセクシュアリティを考えることができるという。でもそれは、また新しくディジタルな境界線を引くことなのかもしれない。
ただお洒落がしたくて女装をはじめたら、いつのまにか男の人に恋をしていた。素敵な女の子に一目惚れをしたら、彼女は彼で、私は女で…。ドキュメンタリー映画『恋とボルバキア』の登場人物たちがおしえてくれるのは、私たちの性は、実はとても曖昧でカラフルで、混沌としているということ。そして、そのぶんだけ、恋や夢や、幸せのかたちも、抱えてしまう生きづらさも、限りがない。
小野さやか監督が描く、恋のヒリヒリとドキドキと、混沌。
本作は、衝撃のセルフドキュメンタリー映画『アヒルの子』でデビューした小野さやか監督の最新作。プロデュースを手がけるのは、『FAKE』『Ryuichi Sakamoto:CODA』などの橋本佳子。ときにキャメラは、恋人たちの親密な時間や気まずい葛藤の場面を映し出す。好きになったら、嫌われたくない。一緒にいたい。結婚したい。赤ちゃんだって欲しくなる。「みんなちがって、みんないい」ってみんな言う。でも、私はツライ! そんなヒリヒリとドキドキを、ぜひ真っ暗な映画館で。
港町
Inland Sea
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc
配給:東風+gnome
2018年|日本・米国|122分|モノクローム|DCP
生きて、死ぬ。死んで、生きる。
比類なき映画体験。ドキュメンタリーの驚天動地。
美しく穏やかな内海。小さな海辺の町に漂う、孤独と優しさ。やがて失われてゆくかもしれない、豊かな土地の文化や共同体のかたち。そこで暮らす人々。静かに語られる彼らの言葉は、町そのもののモノローグにも、ある時代のエピローグにも聞こえる。そして、その瞬間は、不意に訪れる……。
監督は、イタリア、カナダ、中国などでレトロスペクティブが組まれるなど、国内外で高い評価を受ける映画作家・想田和弘。ベルリン国際映画祭2018への正式招待が早々と決まった本作は、作品を重ねるごとに進化を続ける「観察映画」の新境地であり、同時に、現代映画のひとつの到達点である。しかし、我々は、この映画体験の美しさと比類のなさとを語る言葉を未だもてずにいる。あなたは、どうか?
ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命
CITIZEN JANE Battle for the City
マリサ・トメイ(『レスラー』『スパイダーマン:ホームカミング』)
ヴィンセント・ドノフリオ(『マグニフィセント・セブン』)
監督:マット・ティルナー
製作:ロバート・ハモンド、コリー・リーザー
撮影:クリス・ダプキンス
編集:ダニエル・モルフェシス、アンドレア・ルイス
字幕監修:山形浩生
配給:東風+ノーム
2016年|アメリカ|92 分|カラー・モノクロ|1:1.78
もしジェイコブズがいなかったら、
世界一エキサイティングな大都市・ニューヨークは、きっとずっと退屈だった。
1961年に出版された「アメリカ大都市の死と生」は、近代都市計画への痛烈な批判とまったく新しい都市論を展開し、世界に大きな衝撃を与えた。今や都市論のバイブルとなったこの本の著者は、NY のダウンタウンに住む主婦、ジェイン・ジェイコブズ。建築においては一介の素人に過ぎなかった彼女の武器は、その天才的な洞察力と行動力だった。本作は、当時の貴重な記録映像や肉声を織り交ぜ、“常識の天才”ジェイコブズに迫った初の映画。都市は誰がつくり、誰のためにあるのか? 私たちが暮らす街の未来を照らす建築ドキュメンタリー。
ザ・ビッグハウス
THE BIG HOUSE
監督・製作:マーク・ノーネス、テリー・サリス
監督:ミシガン大学の映画作家たち
配給:東風 + gnome
2018年|米国・日本|119分|カラー|DCP|ドキュメンタリー
ディス・イズ・ア・メ・リ・カ!
「観察映画」史上最高のスペクタクルで描かれるアメリカ合衆国の光と影
ついに想田和弘がアメリカで観察映画を撮った。しかも舞台は、全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム、通称“ザ・ビッグハウス”。パブリック・アイビーと称される名門ミシンガン大学が誇るウルヴァリンズの本拠地だ。収容人数は10万人以上、地元アナーバー市の総人口に迫る。
想田を含めて17人の映画作家たちが廻すキャメラが捉えたダイナミックなプレイ、熱狂する観衆、バックヤードで国民的スポーツを支える実に様々な人々…。それらの映像群が、想田の大胆かつ緻密なモンタージュによって、まるで巨大な生命体のように機能するスタジアムの全貌を描き出していく。
それは現代アメリカの縮図でもある。教育とスポーツとビジネスの関係。人種や階級、格差、宗教問題。台頭するナショナリズムやミリタリズム…。アメリカが誇る文化と、抱える問題とが、“ザ・ビッグハウス”という小宇宙に浮かび上がる。奇しくも撮影は2016年の秋、ドナルド・トランプ大統領誕生へと至る選挙戦の最中に行われた。
沖縄スパイ戦史
Boy Soldiers: The Secret War in Okinawa
プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴
撮影:平田守 編集:鈴尾啓太 監督補:比嘉真人 音楽:勝井祐二
協力:琉球新報社、沖縄タイムス社
製作協力:沖縄記録映画製作を応援する会
製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵、大矢英代
配給:東風
2018|日本|DCP|114分|ドキュメンタリー
戦後70年以上語られなかった陸軍中野学校の「秘密戦」、
明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない――。
第二次世界大戦末期、米軍が上陸し、民間人を含む20万人余りが死亡した沖縄戦。第32軍・牛島満司令官が降伏する1945年6月23日までが「表の戦争」なら、北部ではゲリラ戦やスパイ戦など「裏の戦争」が続いた。作戦に動員され、故郷の山に籠って米兵たちを翻弄したのは、まだ10代半ばの少年たち。彼らを「護郷隊」として組織し、「秘密戦」のスキルを仕込んだのが日本軍の特務機関、あの「陸軍中野学校」出身のエリート青年将校たちだった。
1944年の晩夏、大本営が下した遊撃隊の編成命令を受け、42名の「陸軍中野学校」出身者が沖縄に渡った。ある者は偽名を使い、学校の教員として離島に配置された。身分を隠し、沖縄の各地に潜伏していた彼らの真の狙いとは。そして彼らがもたらした惨劇とは……。
「散れ」と囁くソメイヨシノ
「生きろ」と叫ぶカンヒザクラ
長期かつ緻密な取材で本作を作り上げたのは、二人のジャーナリスト。映画『標的の村』『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』で現代の闘いを描き続ける三上智恵と、学生時代から八重山諸島の戦争被害の取材を続けてきた若き俊英、大矢英代。
少年ゲリラ兵、軍命による強制移住とマラリア地獄、やがて始まるスパイ虐殺……。戦後70年以上語られることのなかった「秘密戦」の数々が一本の線で繋がるとき、明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない。
映画は、まさに今、南西諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、さらに日本軍の残滓を孕んだままの「自衛隊法」や「野外令」「特定秘密保護法」の危険性へと深く斬り込んでいく。
愛と法
Of Love & Law
監督:戸田ひかる
プロデューサー:エルハム・シャケリファー 撮影監督:ジェイソン・ブルックス
編集/アソシエイト・プロデューサー:秦岳志 音楽:前田雄一朗
共同プロデューサー:エステル・ロバン・ユウ 音響:ヴァネサ・ロレナ・テイト
製作:Little Stranger Films/Hakawati
製作協力:Chicken & Egg Pictures/Les films du Balibari/Postcode Films
配給:東風
2017年|日・英・仏|94分|DCP|ドキュメンタリー|原題:Of Love & Law
溢れるやさしさとユーモア 明日を生きるヒントと勇気
カズとフミは大阪の下町で法律事務所を営む弁護士夫夫(ふうふ)。仕事も生活も二人三脚のふたりのもとには、全国から“困っている人たち”が相談にやってくる。セクシュアル・マイノリティ、養護が必要な子どもたち、戸籍を持てずにいる人、「君が代不起立」で処分された学校の先生、作品が罪に問われたアーティスト…。それぞれの生き方と社会のしくみとの間で葛藤を抱える人たちだ。ふたり自身も法律上は他人同士のまま。そんなある日、ふたりの家に居候がやってくる。突然居場所を失った少年・カズマくん。三人の新しい生活がはじまった…。
国際映画祭が絶賛した新しい眼差し 大傑作ドキュメンタリー映画の誕生!
東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に、唯一のドキュメンタリー映画として選ばれた本作は「大胆かつ軽いタッチで、多様性、個性、勇気、愛について、力強いメッセージを届けた」と評され、作品賞を受賞。続く香港国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞に輝いた。
監督は、欧州で長年活動していた戸田ひかる。10歳から海外で育った彼女ならではの瑞々しいまなざしが、日本社会の現実を鮮やかに、愛情いっぱいに描き出す。
スパイネーション/自白
자백(Spy Nation)
プロデューサー:キム・ジェファン 製作:ニュース打破
2016年|韓国|106分|DCP|カラー|原題:자백(英題:Spy Nation)|日本語字幕:根本理恵|配給:東風
権力の中枢をえぐり 国家の嘘を暴く 本物のジャーナリズム
KCIAから国家情報院へ——40年間にわたる〈北朝鮮スパイ捏造〉の真相
2013年、脱北者でソウル市の公務員だったユ・ウソンさんが“北朝鮮のスパイ”として拘束された。しかし、国家情報院が提示した明白な証拠は彼の妹の「自白」証言だけ…。疑念を抱いたチェ・スンホ監督と「ニュース打破」取材班が動き出す。取材を進めていくと、国家情報院の協力者が証拠書類の捏造を暴露し、自殺を図った。さらにスパイ捏造事件は被害者は脱北者だけではなかったことが判明。中国、日本、タイをめぐる粘り強い追跡取材の末、映画は40年間途切れることなく続いてきた国家権力の中枢によるスパイ捏造の深い闇へと切り込んでいく——。本作が韓国で公開されたのは2016年10月。〈ろうそく集会〉が大きな盛り上がりを見せる最中、当時大統領候補だった文在寅(ムン・ジェイン)は本作を観て、「国家情報院の改革」を公約に加えたという。
共犯者たち
공범자들(Criminal Conspiracy)
2017年|韓国|105分|DCP|カラー|原題:공범자들(英題:Criminal Conspiracy)
日本語字幕:安田幸弘|字幕監修:根本理恵|配給:東風
なぜ韓国の人々は、長期保守政権を終わらせることができたのか?
李明博と朴槿恵政権による言論弾圧
日本のマスメディアが報じなかった隣国のジャーナリストたちの闘い
2008年、〈米国産牛肉BSE問題〉などの報道により国民の支持を失いかけた李明博政権は、メデイアへの露骨な政治介入を始める。狙われたのは公共放送局KBSと公営放送局MBC。政権に批判的な経営陣が排除され、調査報道チームは解散、記者たちは非制作部門へと追われた。両局の労働組合はストライキで対抗するが、政権が送り込んだ新しい経営陣は解雇や懲戒を濫発。その結果、政府発表を報じるだけの「広報機関」となった放送局は、〈セウォル号惨事〉で「全員救助」の大誤報を流し、〈崔順実(チェ・スンシル)ゲート事件〉の隠蔽に加担することになった……。
しかし、それでも諦めないジャーナリストたちがいた。局内に残った記者たちは、さらに激しいストライキに突入。いっぽう、不当解雇されたチェ・スンホ監督たちは、市民の支援で立ち上げた独立メディア「ニュース打破(タパ)」で、調査報道を継続。言論弾圧の「主犯」と、権力に迎合して韓国の報道を骨抜きにした放送業界内の「共犯者たち」をカメラの前に立たせ、その実態と構造とを明らかにしていく。2017年8月に韓国で公開された本作は、26万人動員というドキュメンタリーとして異例の大反響を呼んだ。そして、奇跡の大逆転劇が起きる――。
眠る村
SLEEPING VILLAGE
プロデューサー:阿武野勝彦 音楽:本多俊之 音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:坂井洋紀 音声:福田健太郎 オーサリング:山口幹生 音響効果:柴田勇也
TK:須田麻記子 編集:奥田繁 題字:山本史鳳 監修:門脇康郎
監督:齊藤潤一 鎌田麗香
製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2018年|日本|96分|ドキュメンタリー|DCP
この事件は、おかしい——
三重と奈良にまたがる葛尾。昭和36年、村の懇親会で女性5人が死亡した。ぶどう酒に混入した毒物による中毒死。事件から6日後、逮捕された奥西勝が犯行を認める。当時35歳。「妻と愛人との三角関係を清算するためだった」と自白した。すると不思議なことに、村人たちは奥西の犯行を裏付けるかのようにパタリパタリと証言を変えていった。
だが迎えた初公判、奥西は一転無罪を主張。自白は「強要されたものだ」と訴えた。一審は無罪。しかし二審では死刑判決、最高裁は上告を棄却。昭和47年、奥西は確定死刑囚となった。村人たちは事件が起きた公民館を取り壊し、奥西家の墓を掘り返して畑のなかへ追いやった。奥西は独房から再審を求め続けたが、平成27年10月、帰らぬ人となった。享年89歳。八王子医療刑務所で独り、無念の獄死だった。
『ヤクザと憲法』『人生フルーツ』の東海テレビが、“昭和のミステリー”を揺り起こす。
名張毒ぶどう酒事件——戦後唯一、司法が無罪からの逆転死刑判決を下したこの事件。57年が経った今もなお、多くの謎がある。決定的な物証の不在、自白の信憑性、二転三転した関係者たちの供述。そして、なぜ司法は頑なに再審を拒むのか。その謎に挑むのは、『ヤクザと憲法』『人生フルーツ』の東海テレビ放送。ナレーションはかつて奥西勝を演じた仲代達矢。平成最後の冬に放つ、渾身のミステリー。第66回菊池寛賞を受賞した“東海テレビドキュメンタリー劇場”第11弾。
主戦場
SHUSENJO: The Main Battleground of The Comfort Women Issue
プロデューサー:ミキ・デザキ ハタ・モモコ アソシエイトプロデューサー:カン・ミョンソク
音楽:オダカ・マサタカ アニメーション:1K FILMS 製作:ノーマン・プロダクションズ
出演:トニー・マラーノ aka テキサス親父 藤木俊一 山本優美子 杉田水脈 藤岡信勝 ケント・ギルバート 櫻井よしこ 吉見義明 戸塚悦朗 ユン・ミヒャン イン・ミョンオク パク・ユハ フランク・クィンテロ 渡辺美奈 エリック・マー 林博史 中野晃一 イ・ナヨン フィリス・キム キム・チャンロク 阿部浩己 俵義文 植村隆 中原道子 小林節 松本栄好 加瀬英明 他
2018年|アメリカ合衆国|DCP|122分|配給:東風
ひっくり返るのは歴史か それともあなたの常識か
ようこそ、「慰安婦問題」論争の渦中(バトルグラウンド)へ
あなたが「ネトウヨ」でもない限り、彼らをひどく憤らせた日系アメリカ人YouTuberのミキ・デザキを、おそらくご存知ないだろう。ネトウヨからの度重なる脅迫にも臆せず、彼らの主張にむしろ好奇心を掻き立てられたデザキは、日本人の多くが「もう蒸し返して欲しくない」と感じている慰安婦問題の渦中に自ら飛び込んでいった。
慰安婦たちは「性奴隷」だったのか?「強制連行」は本当にあったのか? なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか? そして、日本政府の謝罪と法的責任とは……?
次々と浮上する疑問を胸にデザキは、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、ケント・ギルバート(弁護士/タレント)、渡辺美奈(「女たちの戦争と平和資料館」事務局長)、吉見義明(歴史学者)など、日・米・韓のこの論争の中心人物たちを訪ね回った。さらに、おびただしい量のニュース映像と記事の検証と分析を織り込み、イデオロギー的にも対立する主張の数々を小気味よく反証させ合いながら、精緻かつスタイリッシュに一本のドキュメンタリーに凝縮していく。そうして完成したのが、映画監督ミキ・デザキのこの驚くべきデビュー作、『主戦場』だ。
映画はこれまで信じられてきたいくつかの「物語」にメスを入れ、いまだ燻り続ける論争の裏に隠された“あるカラクリ”を明らかにしていくのだが——それは、本作が必見である理由のごくごく一部に過ぎない。
さて、主戦場へようこそ。
人生をしまう時間(とき)
制作:NHKエンタープライズ 製作:NHK 配給:東風
2019年|日本|110分|DCP|ドキュメンタリー ©NHK
人生をしまう時間(とき)、人は、家族は何を望むのかーー
東大病院の名外科医がたどりついた最後の現場
それは、「在宅」の終末期医療だった。
超高齢化が進み、やがて多死時代を迎える日本。近年、国は医療費抑制のため終末期医療の場所を病院から自宅に移す政策をとってきた。同時に、家族に看取られ、穏やかに亡くなっていくことを目指す「在宅死」への関心が高まっている。しかし、家族との関係や経済力など事情はそれぞれ。「理想の最期」の前に、厳しい現実が立ちはだかることもある。
都会の片隅で、「在宅死」と向き合うベテラン医師がいる。埼玉県新座市の「堀ノ内病院」に勤める小堀鷗一郎医師、80歳。森鷗外の孫で、東大病院の名外科医だった彼がたどりついた最後の現場が、在宅の終末期医療だった。患者と家族とともに様々な難問に向き合い、奔走する医師や看護師、ケアマネージャーたち。一人ひとりの人生の終わりに、医療に何ができるのか。映画は、地域の在宅医療に携わる人々の活動に密着し、命の現場を記録した。
いま医療に、地域に、社会に何ができるのか?
大きな反響を呼んだテレビドキュメンタリー、待望の映画化。
本作は、NHK BS1スペシャル「在宅死 “死に際の医療”200日の記録」に新たなシーンを加え、再編集をほどこした待望の映画化である。「どんな最先端の医療より、人との繋がりや愛情が最も人を癒すのだろう。最後まで目が離せなかった」「いま介護に直面してる人もそうでない人もぜひ見るべき」「在宅死のきれい事ではない現実に最初は目を背けてしまいそうだったが、家庭ごとにドラマがあり2時間引き込まれた」など、番組は大きな反響を呼び、〈日本医学ジャーナリスト協会賞大賞〉を受賞。自らカメラを回した下村幸子監督は、親密な距離から、いくつもの決定的な瞬間を捉え、命の終焉に立ち会う人々の微妙な感情の動きを映し出していく。
さよならテレビ
音楽:和田貴史 音楽プロデューサー:岡田こずえ
撮影:中根芳樹 音声:枌本昇 CG:東海タイトル・ワン
音響効果:久保田吉根 TK:河合舞 編集:高見順
製作・配給:東海テレビ放送 配給協力:東風
2019年|日本|109分|DCP|ドキュメンタリー
薄っぺらいメディアリテラシーはもういらない!
『ヤクザと憲法』の監督とプロデューサーが描くテレビの自画像。
これは、裸のラヴレター。
今は昔。テレビは街頭の、お茶の間の、ダントツの人気者だった。豊かな広告収入を背景に、情報や娯楽を提供する民間放送は、資本主義社会で最も成功したビジネスモデルの一つだった。しかし、その勢いはもうない。「テレビは観ない」と公言することがクールだった時代を通り越し、今はテレビを持たない若者も珍しくない。マスメディアの頂点でジャーナリズムの一翼を担ってきたテレビが、「マスゴミ」と揶揄されるようになって久しい。これは市民社会の成熟か、あるいはメディア自身の凋落か…。今、テレビで、何が起きているのか? 『ホームレス理事長』『ヤクザと憲法』のクルーが、自社の報道部にカメラを入れた。
本作は東海テレビ開局60周年記念番組「さよならテレビ」(77分)に新たなシーンを加えた待望の映画化である。自らを裸にしていくかのような企画は、取材当初からハレーションを引き起こした。そして、東海地方限定で放送されるやいなや、テーマだけでなく、その挑発的な演出が、異例の大反響を呼んだ。番組を録画したDVDが、まるで密造酒のように全国の映像制作者に出回った。テレビの現場は日々、何に苦悩し、何を恐れ、どんな決断を迫られているのか。果たして、今のテレビにレゾンデートルはあるのか?
薄っぺらいメディアリテラシーは、もうたくさん。テレビの今を活写する。
プリズン・サークル
Prison Circle
撮影:南幸男 坂上香|録音:森英司
アニメーション監督:若見ありさ|音楽:松本祐一 鈴木治行
製作:out of frame|配給:東風
2019年|日本|136分|DCP|ドキュメンタリー
過熱する犯罪報道、厳罰化を叫ぶ声——
けれど私たちは、この国の「罪」と「罰」について多くを知らない。
「島根あさひ社会復帰促進センター」は、官民協働の新しい刑務所。警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。しかし、その真の新しさは、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを日本で唯一導入している点にある。なぜ自分は今ここにいるのか、いかにして償うのか? 彼らが向き合うのは、犯した罪だけではない。幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶。痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情。そして、それらを表現する言葉を獲得していく…。
処罰から回復へ
今、日本の刑務所が変わろうとしている——
監督は、『ライファーズ 終身刑を超えて』『トークバック 沈黙を破る女たち』など、米国の受刑者を取材し続けてきた坂上香。日本初となる刑務所内の長期撮影には、大きな壁が立ちはだかった。取材許可が降りるまでに要した時間は、実に6年。この塀の中のプログラムに2年間密着したカメラは、窃盗や詐欺、強盗傷人、傷害致死などで服役する4人の若者たちが、新たな価値観や生き方を身につけていく姿を克明に描き出していく。
春を告げる町
Hirono
プロデューサー:加賀博行 島田隆一 助監督・録音:國友勇吾
編集:秦岳志 整音:川上拓也 音楽:稲森安太己
協賛:アサヒグループホールディングス株式会社
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:広野町 JyaJya Films 配給:東風
2019年|日本|130分|DCP|ドキュメンタリー
2020年東京五輪 聖火リレーの出発地点
福島県双葉郡広野町から問いかける 本当の復興とは何か?
東日本大震災の発生直後から全町避難を余儀なくされ、東京電力や自衛隊の前線基地となった福島県双葉郡広野町。あれから9年ーー「復興五輪」をかかげる2020年東京オリンピックの聖火リレーは、この町からスタートする。
けれど、その「復興」って何だろう? 「絆」「再生」「共同体」といった言葉に、つい白々しさを感じてしまう……そんなあなたにこそ、この映画を観てほしい。
『春を告げる町』が描くのは、華やかでシンボリックなセレモニーの後景で、こつこつと日々の暮らしを築いていく人びとの営み。この土地で新たに生まれ、すくすくと育っていく子どもたちの物語。被災体験をモチーフに演劇をつくりあげる高校生たちの青春。広野町を流れるいくつもの時間が交差し、重なりあい、やがて未来をかたちづくっていく。
監督は『ドコニモイケナイ』で2012年度日本映画監督協会新人賞を受賞した島田隆一。編集を手がけたのは『息の跡』『愛と法』などの秦岳志。果たして本当の復興とは何か? 言葉にできないその答えを、映画はそっと静かに映し出す。
精神0
Zero
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc 配給:東風
2020年|日本・アメリカ|128分|カラー・モノクロ|DCP|英題:Zero
「こころの病」とともに生きる人々がおりなす悲喜こもごもを鮮烈に描いた『精神』から10年ーー
映画作家・想田和弘が、精神科医・山本昌知に再びカメラを向けた
ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった…。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。
病とは、老いとは、仕事とは、夫婦とは、
そして愛とは何か?
想田和弘監督自身が「期せずして”純愛映画”になった」と語る本作は、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門<エキュメニカル審査員賞>を受賞。また、ニューヨーク近代美術館(MoMA)Dco Fortnight 2020 のセンターピースとしての上映が早々に決定した。『港町』『ザ・ビッグハウス』を経て、さらに深化した「観察映画」の最新作は、そう、愛の物語だ。
島にて
Tobishima
プロデューサー:大宮浩一 木下繁貴
撮影:前田大和 編集:遠山慎二 整音:石垣哲 制作:大宮映像製作所
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映像創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:『島にて』製作委員会 配給:東風 宣伝協力:認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭
2019年|日本|99分|カラー|DCP|ドキュメンタリー
島で生きるということーー。
人が集団で暮らし、社会を営むために無くてはならないものとは?
日本海の沖合にぽっかりと浮かぶ山形県唯一の有人離島ーー飛島(とびしま)。酒田港から定期船で75分、島の面積は2.75㎢。本土を望めば雄大な鳥海山、豊かな自然をたたえた島は、その全域が国定公園に指定されている。かつて日本海側の海の交通の要所として栄え、島民の多くは漁業や農業で生計を立ててきた。「北は樺太、南は九州まで、いろいろな思い出があるけど、今はわびしいもんだ」と往時を懐かしむのは、漁師の和島十四男さん(80)。過疎と高齢化が進み、現在は140人ほどが暮らす。今年は、島でただ一人の中学生・渋谷新くん(15)が卒業の時を迎えようとしていた。高校進学が決まれば、新くんは島を離れ、飛島小中学校は休校となる。いっぽう、UターンやIターンで島に来た若い人たちがいる。島内に雇用を生み出そうとユニークな取り組みを続ける「合同会社とびしま」の共同代表・本間当さん(38)もその一人。「”漁師にだけはなるな”と育てられたけど、なぜか島に戻ってきた」と笑う。
人が人として、社会を営み、生きていくために本当に必要なものとは何か? 平成最期の一年間、飛島の人々の暮らしを記録した本作が映し出すのは、生活者たちのエピファニー、継承と再生の兆し、ある時代の終わりと始まり。監督は、文化庁映画賞受賞『ただいま それぞれの居場所』の大宮浩一と毎日映画コンクール受賞『桜の樹の下』の田中圭。
おかえり ただいま
監督・脚本:齊藤潤一 プロデューサー:阿武野勝彦
音楽プロデューサー:岡田こずえ 音楽:村井秀清 主題歌:「Home」ミナコ”ムーキー”オバタ
撮影:村田敦崇 坂井洋紀 米野真碁 編集:山本哲二 助監督・取材:繁澤かおる
製作・著作・配給:東海テレビ放送 制作協力:日本映画専門チャンネル 配給協力:東風
2020年|日本|DCP|112分|ドキュメンタリー・ドラマ
8割以上の国民が死刑を容認する日本。最愛の人を奪われたとき、私たちは何を望むのか?
名古屋闇サイト殺人事件ーーー2007年8月24日深夜、帰宅途中の女性が拉致、殺害され、山中に遺棄された。犯人は、携帯電話のサイト”闇の職業安定所”で知り合った3人の男たち。マスコミの報道は過熱、娘を奪われた母は加害者全員の死刑を望んだ。しかし、立ちはだかったのは「1人の殺害は無期懲役が妥当」という判例。母は街頭に立ち、極刑を求めて約33万筆の署名を集めた。裁判は1人が死刑、2人に無期懲役。その後、無期の1人に別の強盗殺人の余罪が発覚し、死刑が確定した。
東海テレビが作らずにはいられなかった映画。
死刑存廃論を超えて、事件の背景と家族の人生を描き出す。
事件発生直後から被害者の母を取材してきた東海テレビは、ドキュメンタリー「罪と罰〜娘を奪われた母 弟を失った兄 息子を殺された父〜」(2009年4月)を放送。その後も撮影を継続し、死刑執行後に犯人の父親の肉声を収録した。しかし、それだけでは表現できないことがあった。それは、事件前の母と娘のかけがえのない日々。母を斉藤由貴、娘を佐津川愛美が演じ、在りし日の家族を蘇らせた。さらに、凄惨な事件を起こすに至った男の生い立ちを浮かびあがらせる。
監督・脚本は、「光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の300日〜」『死刑弁護人』『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』など、日本の司法のあり方を鋭く問い続ける齊藤潤一。プロデューサーは、『人生フルーツ』『ヤクザと憲法』も手がける阿武野勝彦。2018年に菊池寛賞を受賞した「東海テレビドキュメンタリー劇場」最新作。